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犬は保護するか、駆除するか、それとも食べるか?

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第123回】 2015年7月25日
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 中国では、毎年夏至の日に犬食をする『犬肉祭』という慣習があるらしい。

 一説によると、犬肉祭に中国全土で食べられる犬の数は一万匹にものぼるとのことだ。犬好きにすれば驚きの慣習であり、あ然とする数字だが、とりわけ象徴的と言われているのが中国南部にある玉林市という町だ。犬食が盛んなこの町は、世界の愛犬家たちから批難されているのだそうだ。

 夏至が近づくと、玉林市内の道路脇には、檻に入れた犬が売られる光景が散見される。批判が集中したからか、売り手たちは口をそろえて「食用ではない」とあからさまな嘘をつくらしい。でも檻の中には四匹も五匹も犬が入れられている。あまり考えたくはないが、生きた犬を売って、誰が、どんなふうに料理するのだろう。

 通りには犬肉を売る店も十数軒あるが、この二年ほどで犬を意味する『狗』の文字が看板から消えたそうだ。が、ある店主は、ちゃんと「狗」を売っていると話した。

 「三キロの犬肉の鍋を一二〇元で提供する」

 玉林市の犬鍋は、日本円にして約二四〇〇円だ。これが平均的な値段なのか高額なのかは私にはわからないが、わからなくていいような気もする。

 「犬食を反対する人が多くて、地元ではこそこそ食べる人が多くなった」

 毎年の犬肉祭は欠かさないという中年女性は言った。

 「なぜ犬はだめ? 豚は、牛は? 自分たちの考えを、わたしたちにまで押しつけないでほしい」

 中国人女性はこう言うが、犬食に反対する欧米の動物保護団体は、犬肉祭の開催中止を求める署名活動を展開し、さらには、食材となる犬を事前に買い占めるなどの保護活動を始めた。得てして動物保護団体や環境保護団体の活動というのはエキセントリックなものだが、その動物保護団体曰く――、

 「犬食は動物虐待だ」
 「犬は人間にとって最高の友人。犬食は誤った行為だ」

 友人というのは「人」を指す言葉で、犬なら「友犬」じゃないかと思ったりもするが、中国の『犬肉祭』は海外メディアの報道を通じ、国際問題にまで発展した。これは動物虐待だ残酷だとメディアを効果的に利用し賛同者を募るのは動物保護団体の常套手段だが、中国の犬食愛好家らはめげなかった。彼らは、こう反論したのである。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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