中国でのビジネスで
高まる二つのリスク

高まるチャイナリスクに日本企業は身構えよ

 最近、中国経済はかつての勢いを失いつつある。それに伴い、わが国企業が中国でビジネスを展開する場合のリスク=チャイナリスクが高まっている。チャイナリスクは大きく分けて二つの要素を考えると分かりやすい。

 一つは中国経済全体の先行きや政治情勢の変化、一般的に言われるカントリーリスクだ。今年4~6月期のGDP成長率は7%と発表されたものの、経済専門家の中では「実体経済は数字よりもかなり悪化している」との見方が多い。

 現在、中国政府は従来の輸出と設備投資に大きく依存する経済構造を、個人消費中心型の安定した構造=“新常態”へと移行することを目指しているものの、世界第2位の規模を誇る大国経済の基本的な体質を変えるのは容易ではない。

 また、中国経済は国内の不動産バブルやシャドウバンキングなどの問題を抱えている。経済成長率が鈍化する中で、政府がそれらの問題と向き合うのは口で言うほど簡単なことではない。経済の減速が鮮明化すると、人々の共産党政権に対する不満も高まるだろう。

 もう一つは日常の業務を行う上でのリスク、いわゆるオペレーショナルリスクだ。具体的には、従業員などの不正行為などが考えられる。