ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
不況前の常識では勝ち残れない! 業界別「経営戦略実践講座」

世界的な自由化への布石を打てるか?
航空運輸業界の雌雄を決する「柔軟戦略」

デロイトトーマツコンサルティング
【第5回】 2009年10月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今回は、世界的に業績不振で苦しんでいる航空運輸業界を取り上げ、「戦略のパラドックス」の観点から分析してみたい。

 航空運輸業界は「オープンスカイの動向・燃油費の変動・景気動向」といった不確実性に大きな影響を受けており、これからもそれは変わらないと考えている。

 加えてリーマン・ショック以降は、それ以前は「勝ち組」とも言われていたエアラインも含めて多くが赤字に苦しんでおり、「業界全体として有力な成功モデルを見失った」と言えるのではないだろうか。

 このような状況下では、1つの戦略にコミットするのは非常にリスクが高い。戦略のパラドックスをふまえた「柔軟な戦略」により、選択肢を維持しながら進むべき道を見極めていくことが、「生き残りの鍵」と考えている。

航空運輸業界の直近10年間は
「M&Aと淘汰の時代」だった

 エアライン(航空運輸会社)は、大きく2つのタイプに分けられる。

 1つめは「FSA」(Full Service Airline)と呼ばれる、昔ながらのエアラインである。高品質サービス・高価格が特徴で、代表的な会社には、米国ではアメリカン、デルタ、ユナイテッド、欧州ではルフトハンザ、エールフランス-KLM、ブリティッシュエアウェイズ、アジアでは日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、シンガポール航空などがある。

 もう1つのタイプは、LCC(Low Cost Carrier)と呼ばれるタイプだ。1990年代中頃から本格的な広がりを見せ、近年の成長は目を見張るものがある。徹底的な低価格が特徴で、機内食などのサービスは極力なくすか有料化している。

 代表格は、米国ではサウスウエスト、ジェットブルーエアウェイズ、欧州ではライアンエアー、イージージェット、アジアではエアアジア、タイガーエアウェイズ、ジェットスターなどである。

 たとえば、エアアジアでクアラルンプール(マレーシア)からシンガポールまでの片道(所要時間50分)は、「条件次第で2000円以下」という安さだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

デロイトトーマツコンサルティング

デロイトトーマツコンサルティングの専門家8人が、毎週交代で執筆を担当。筆者名/松下芳生(デロイトトーマツコンサルティング(以下DTC)パートナー兼常務取締役、デロイトトウシュトーマツ(DTT)アジアパシフィックコンシューマービジネスインダストリーリーダー)、佐瀬真人(DTCパートナー)、矢矧晴彦(DTCパートナー)、高橋淳一(DTCシニアマネジャー)、大日方 隆(DTCシニアマネジャー)、高橋俊成(DTCマネジャー)、西川陽介(DTCマネジャー)、細川敦邦(DTCマネジャー)
デロイトトーマツコンサルティングのHPはこちら


不況前の常識では勝ち残れない! 業界別「経営戦略実践講座」

世界危機の後遺症で、経済は過去に例がないほど「不確実性」を増している。激動の市場で企業が勝ち残るためには、新たな経営戦略のアプローチが必要不可欠となった。その手法を、大手コンサルファーム・デロイトトーマツコンサルティングの専門家たちが、業界別に徹底指南する。

「不況前の常識では勝ち残れない! 業界別「経営戦略実践講座」」

⇒バックナンバー一覧