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君は“女子高生の甲子園”を知っているか?

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第124回】 2015年8月1日
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 夏の甲子園大会は全国の出場校が出そろった。

 とりわけ今年は全国大会が開催されてから一〇〇周年にあたり、主催の朝日新聞社は無論のこと高校野球ファンも盛り上がっている(戦時中の大会開催中止をはさむため、今年は第九七回大会となる)。大会初日の始球式を王貞治さんが務めることもあり、朝日にしてはなかなか乙な演出も用意されている。

 どーでもいいことだが、かつて朝日新聞社は甲子園大会の「開会式」にジャニーズを呼び、開会式なのに何故かジャニーズにショーをやらせたこともあった。観客スタンドは、ジャニーズファンの女の子たちで埋まった。女の子たちは目当てのショーが終わった途端に席を立ち帰ろうとしたが、主催者である朝日新聞社は彼女たちの退席を禁じた。開会式が終わるまでは席を立たないでくださいとか何とか言って、通路出口を係員たちが封鎖していた。出口付近では女の子たちと係員が言いあう場面も見られたほどだ。

 甲子園大会の開会式にジャニーズを呼んでショーをやらせる朝日新聞社の企画力にはあ然とさせられもし笑わせてももらったが、ショーが長引いたため、入場行進でプラカードを持った女子高生たちが熱中症になり、その場にしゃがみ込んでしまうという異様な開会式だった。選手も、プラカードの女子高生たちも、整列したままでジャニーズのショーを見させられたのである。その中には第一試合を戦う選手たちだっていたっていうのに。

 朝日新聞社はでっちあげの捏造報道をしたりワケのわからない演出をして悦にいる夜郎自大な新聞社だと思っていたが、王さんに始球式を依頼するあたり、ちょっとは見直していいのかもしれない。

 王さんは早稲田実業のエースとして、高校二年の春、センバツ大会に出場し優勝投手にもなった。夏も連続出場し、二回戦で延長十一回をノーヒットノーラン(相手チームに一本もヒットを打たれないこと)で抑えるなどの活躍をした(延長戦でのノーヒットノーラン達成は王さんだけが持つ記録)。

 三年生の春もセンバツ大会に出場。この大会では三〇年ぶりとなる二試合連続ホームランを放つなど、後の『世界のホームラン王』は、当時からその片鱗をうかがわせていた。が、残念ながら、高校三年の夏、王さんは五大会連続となる甲子園出場を逃している。

 このときは決勝戦で早実を破った明治高校が甲子園出場を果たしたが、早実ナインは甲子園に出発する明治高校の選手らを東京駅まで見送りに出たのだそうだ。こんな逸話が、高校野球ファンを感動させるのだろう。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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