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佐藤可士和の打ち合わせ
【第3回】 2015年8月3日
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佐藤可士和 [アートディレクター]

世界で活躍するアートディレクター・
佐藤可士和はこんな打ち合わせをしている

打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。
『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。
打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

打ち合わせについての僕の思い

 僕の1日の多くは、誰かとの「打ち合わせ」で埋めつくされています。
 以前は、一人で黙々と作業をする時間も多くありましたが、最近は打ち合わせのあいだにアイデアを出し、打ち合わせのあいだに決断をし、打ち合わせのあいだに指示をする、という仕事のスタイルになりました。

 僕にとって打ち合わせとは「仕事そのもの」です。

打ち合わせの質を高めれば高めるほど、アウトプットの質も上がっていき、結果的に仕事の質は高まります。
 何気なくこなしてしまいがちな「打ち合わせ」という行為にこそ、仕事の質を高める秘訣が隠されているのです。

 僕のオフィス「サムライ」では、流通、ITから、自動車、飲料、商社、ファッション、国や地方の仕事まで、30を超えるプロジェクトが常時、無理なく動いていますが、それを可能にしているのは、最高に質の高い打ち合わせを重ねているからです。

 打ち合わせは、実はとても重要なクリエイティブの場です。打ち合わせ自体がアイデアを考える場、プロジェクトの方向性を決める場なのです。
 その場で「こういう考え方はどうですか」「こういうことをやったらどうでしょう」とアイデアが生まれ、「だったら、これで行きましょう」と結論が出る。
 打ち合わせをしている間にインスピレーションが湧いてきて、一緒にアイデアを交換し、みんなで議論し、決断して、どんどんプロジェクトが前に進んでいく。今の僕にとって、打ち合わせの場は、クリエイティブの現場そのものでもあります。

 そして、僕は打ち合わせを効果的に進めるための方法を考えました。
 一つ目が、「とりあえず、打ち合わせ」は時間の無駄ということ。

 打ち合わせに向かうとき、僕はひとつの義務を課しています。
 それは、その打ち合わせによって、プロジェクトなり、テーマなりが、少しでも前に進む、ということです。

 前に進む、なんて当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、全く進んでいない打ち合わせというのは、見渡してみると案外多いもの。特に目的のない定例ミーティング、「とりあえず打ち合わせましょう」などと、ただ集まるだけの打ち合わせなどは、何も進まないことも多い。こうした打ち合わせは、むしろ時間の無駄でありマイナスの場合もあるでしょう。
時間に対して、飛距離を意識すべきなのです。この飛距離が長ければ長いほど、価値のある打ち合わせになった、ということ。打ち合わせのバリューが高かったという認識を持つようにしています。

 もう一点は、打ち合わせには「ルール」が必要だということです。

 僕は打ち合わせの終わりに「今日の打ち合わせはどうだったか」を自分で評価しています。バリューがあったかなかったか、冷静に判断するのです。

 どうすれば「最高の打ち合わせ」ができるのか?
 日々そのことを考えるうちに、僕なりに「こうすればいいのではないか」というルールのようなものができあがっていきました。
 あまりに仕事のど真ん中にあり、あまりに身近で、ゆえに、何気なくやりがちな「打ち合わせ」。その打ち合わせのクオリティを上げ、仕事の質を上げるにはどうすればいいのか。この連載ではそれを突き詰めて考えていきたいと思います。

 毎日の食生活が健康を作るように、毎日の打ち合わせが仕事を変える。打ち合わせを変えることで、仕事が変わり、チームが変わり、会社が変わり、ひいては日本のビジネスが変わる─。
 僕はそう確信しています。

打ち合わせは「本音の真剣勝負」で!

佐藤可士和(さとうかしわ)
博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 そもそも「打ち合わせ」とは何なのでしょうか。
 そんなことをいきなり言われても戸惑うかと思いますので、僕なりに定義をしておきたいと思います。
 クライアントであれ、協力会社であれ、社内であれ、仕事のために人と会う機会はすべて打ち合わせと言っていいとも思うのですが、いわゆる「会議」との違いを明確にすることで、僕の言いたい「打ち合わせ」が明確になると思います。

 「会議」とは、各部署の状況報告を受けて社内で共有したり、経営トップやマネジメントが何らかの案件を承認したりする場。事実が報告されたり、最終判断としての意思決定をしていくような集まりのことです。公式、オフィシャルな場です。
 これらは、打ち合わせではない、とここでは定義します。

「打ち合わせ」は、それこそ会議に上げられる前の段階で、いろいろなことを自由に考え、議論していく場です。ということは、完全に意思決定される前のプロセスは、すべてが打ち合わせ、と言っても過言ではないと思います。

 例えば、経営会議に上げるためにどんな資料を作るか、上司と部下で相談する。これは、打ち合わせでしょう。上司が部下に対して「こんなふうに作ってほしい」と指示をする場。これも打ち合わせです。
 営業がクライアントを訪問して、担当者と商談する。これも打ち合わせ。走り始めている特定のプロジェクトについて、双方で集まって話し合いをする。これも打ち合わせです。その商談のために、事前に上司と擦り合わせをしておく。これも打ち合わせ。
 営業会議などと呼ばれることもありますが、各営業部からそれぞれマネージャーが出席して、今後の営業方針について議論する。これも、打ち合わせです。
 課のメンバーが集まって朝会をやる。これも同様に打ち合わせでしょう。意見を交わし、ディスカッションをするわけですから。

 何かが完全に意思決定される前の段階で、ビジネスをめぐって人がコミュニケーションを交わす。これはすべて、打ち合わせだと言っていいと思うのです。そうなると、実はほとんどの仕事が、打ち合わせに始まる、ということに気づきます。

 まったく一人で仕事をする、一人の仕事で完結してしまう、ということは、ほとんどないのではないでしょうか。仕事は多くの人との連携によって進んでいきます。その連携の際にかならず行われるのが、打ち合わせ。仕事における、極めて重要なコミュニケーションの場なのです。

 次回は、打ち合わせをクリエイティブな場と捉えることの重要性についてお伝えしていきます。

<POINT>
打ち合わせポイント(1) 自由に考え、議論する場はすべて「打ち合わせ」
打ち合わせポイント(2) 打ち合わせは、仕事の中でも重要なコミュニケーションの場
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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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