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山崎元のマネー経済の歩き方

インカムとキャピタル合算の難しさ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第58回】 2008年11月25日
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 筆者は、最初に触った相場が外国為替だった。外国為替の取引では、2国の通貨の金利が先渡しレートに反映していて、通貨は金利とセットで取引するのが当然だった。銀行の資金操作上も、支払い手段としての「為替」は、通貨と金利の両方を包含している。

 しかし、近年話題の「円キャリー取引」(低金利の円を借り入れ別の通貨建ての資産に投資する取引)は、「円安」を狙ったものなのか、「低金利」を狙ったものなのか、経済学に詳しい論者のあいだの議論でも言葉の混乱があるようだ。

 だが、通貨と金利はセットで取引されるのが当たり前であり、「円のショート(売り)ポジション」で儲かる場合は、取引感覚上「円安」に決まっている。為替の見込みに関係なく円キャリー取引を行なうことなどありえない。

 ディーラーにとっては、将来時点でフェアな金利裁定で決まるレートよりも現実のレートが円安になれば「円安」、円高になれば「円高」であって、事前の段階で、両者はおおむね五分五分が当然だ。

 しかし、先々週のこのコラムでご紹介したように、FX(外国為替証拠金取引)では、高金利通貨のロング(買い)ポジションが人気で、レート変動のリスクと意識のうえで切り離してスワップ・ポイント(金利差に応じて付与されるおカネ)で有利に安定運用する、という誤った感覚の運用戦略が喧伝されている。実際には、レバレッジ相応にリスクが増えるので、この運用は有利でもなんでもない。

  どうやら、インカムの損益とキャピタルの損益を通算して損得を判断するというのは、筆者が思う以上に、難しいことらしい。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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