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佐藤可士和の打ち合わせ
【第4回】 2015年8月5日
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佐藤可士和 [アートディレクター]

佐藤可士和が日本の打ち合わせに直言!
「打ち合わせは真剣勝負の場である」

打ち合わせはあまりにも身近で、これまで多くの場合課題を抱かれずに行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。そして、『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)に、数ある打ち合わせから得た知見をまとめています。
打ち合わせを生かし切ることができれば、あなたの仕事はもっとスムーズになります。仕事の質を上げる打ち合わせとは? その本質に迫ります。

すべての打ち合わせは
「クリエイティブの場」である

 打ち合わせについて、強く意識していることがあります。それは、打ち合わせはクリエイティブの場だ、ということです。

 クリエイティブな仕事はどこにでもあります。というよりも、仕事をクリエイティブにすることが大切、ということです。クリエイターという職業の人だけがやることではない。何かが一緒に生み出されていく場は、すべてクリエイティブの場なのです。
打ち合わせは、いろいろなことを自由に考え、議論していく場。トライ・アンド・エラーをしていい場であり、ディスカッションによって何らかのアウトプットをしていく場。これこそまさに、クリエイティブワークです。
 課題や問題点、コンセプトやアイデア、実行計画から表現のディテールまで、ゼロから何かを作り上げていく。最終の意思決定の場に上げられる前のプロセスは、すべてクリエイティブな打ち合わせなのです。

 したがって、打ち合わせに出るときは、クリエイティブな仕事をするんだ、何かをみんなで一緒に作り上げるんだ、という意識を持って臨む必要があります。

 何かを生み出すために発言をしないといけないし、ずっと考えていなければなりません
。事前に考えてきたとしても、打ち合わせ中にどんどん話は展開していきますから、その場で新しいことを考えないといけない。
 逆に、そのくらいの意識を持って、みんなが打ち合わせに臨めば、打ち合わせのクオリティは大きく変わるはずです。
 また、打ち合わせのクオリティを上げていくことは、コミュニケーションのクオリティを上げていく、ということでもあります。なぜなら、打ち合わせはコミュニケーションそのものだからです。
 よって、打ち合わせはコミュニケーション力を磨く場だと思って臨む必要があります。

 なんとなく適当に打ち合わせをこなしているだけだと、いつまで経ってもスキルは磨かれません。日々のいろいろな打ち合わせに、自分のコミュニケーションスキルを磨く意識で向かう。それは、コミュニケーション能力を大いに高めてくれるはずです。

<POINT>
打ち合わせポイント(3) 「一緒に作り上げていく」という意識を持つ
打ち合わせポイント(4) 打ち合わせはコミュニケーション能力を磨く場

打ち合わせの質は
仕事の質に直結する

佐藤可士和(さとうかしわ)博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 常時たくさんの仕事を抱え、連日打ち合わせでスケジュールがびっしり埋まっているせいか、ときどきこんな質問を投げかけられることがあります。

 「一体いつ、アイデアをまとめたり、デザインを考えたりするクリエイティブの時間を作っているのですか?」

 この質問に対する答えは、こうです。

「デザインを仕上げるための時間はもちろん確保していますが、改めてアイデアをまとめる時間を取ることはありません」

 僕は、まさに打ち合わせの時間に、これをやっているのです。
 打ち合わせは、相手と一緒に何かを作り上げる場。アウトプットの場なのです。相手がクライアントであっても、協力スタッフであっても同じです。
 そして当たり前ですが、そのアウトプットの質が最終的な成果物の質にも直結します。打ち合わせの質が成果物の質なのです。

 打ち合わせというと、完全に意思決定される前のプロセスのようなもの、と書きましたが、だからでしょうか、打ち合わせに対して「練習」のようなイメージを持っている人が少なくありません。

 たしかに意思決定は会議で行われますが、そこに出される「何をやるのか」は打ち合わせでこそ、作られます。これは、「練習」ではないのです。
すべての打ち合わせは「試合」であり、「本番」です。すべての打ち合わせが、「真剣勝負の場」なのです。

 初めての打ち合わせでも、話を聞いたら、疑問点や自分の感じたことを、どんどん投げ返していきます。それはどういうことなのか、どうしてそういうことになるのか、こんなふうにしてみたらどうか、こんなイメージは正しいか、とその場で頭に浮かんだことやイメージをどんどんぶつけていくことも少なくありません。
大事なことは、打ち合わせの相手が持っているもの、相手が考えていること、何らかのイメージを、きちんと外に出してもらうことです。それを繰り返しているうちに、僕の中で、もっといえばお互いの中で同じイメージが共有され、どんどんインスピレーションが湧いてきます。これがそのまま、アウトプットに直結していくのです。

 もちろん、いきなり「ゴール」できるわけではありません。しかし、少しでも前に進むことが重要。一つひとつの打ち合わせを「ゴール」のために意味あるものにする、という気持ちで臨むことです。

 となれば、準備は重要です。僕は「下ごしらえ」と呼んでいますが、事前に必要な情報を自らインプットし、ぼんやりしたもの、最終形の正解のようなものでなくてまったくかまわないので、自分の考えを持っていくことです。これこそが「練習」かもしれません。「練習」は一人でやるもの。しっかり「練習」して考えてきていたなら、打ち合わせで意見を問われても対応ができるはずです。

 そして、「本番」では全員の話に集中します。メモはほとんど取りません。とにかく全力で話を聞き、考える。何かが湧き出てきたら、どんどん出していく
 だから僕は、打ち合わせが終わったら、クタクタになるのです。

 次回は、打ち合わせの場こそが最大の自己プレゼンテーションの場だという考え方と、また本音で語り合う打ち合わせの重要性を考えていきます。

<POINT>
打ち合わせポイント(5) アイデアは打ち合わせの場で生み出される
打ち合わせポイント(6) 打ち合わせは「練習」ではなく、「真剣勝負の場」
打ち合わせポイント(7) 事前に準備をし、打ち合わせ中は全力で話を聞き、考える
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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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