成功とは自分らしく生きること

神田 実は、『マンガでわかる 非常識な成功法則』の企画が決まって、編集の方が最初に持ってこられたプロットは、元本の『非常識な成功法則』をそのままマンガにしたノウハウのぶつ切りだったのですよ。

和田 ストーリーがなかったのですね。

神田 そう。主人公が成功にたどりつくためには、さまざまな葛藤があるはずです。すべて書く必要はないけれど、背景がなければ読者の学びにならないと思いました。

和田 はい。マンガの中には、男性の上司にいじめられたり、実の父親との確執など、いくつか背景が描写されていますね。

神田 そうです。予定調和だと伝わらないと思ったから。そこからプロットをすべて見直して、ストーリーを練り直しました。仕上がりを見たときに、編集者と漫画家がすごく良いチームワークで、自分の作品として力を注いでくれたのが見てとれました。すごく嬉しかったですね。

和田 編集者さんは女性ですか?

神田 そう。漫画家も女性です。

和田 そうだと思った! 男性社会で奮闘するシーンとか、自分の父親にすら「女のくせに……」みたいな差別を受けるのをみると、とてもリアルでした。

神田 女性編集者は、プロット見ながら泣いていましたから(笑)。全力で作品と向き合ってくれたのです。

和田 本を読んで思ったのは、成功するというのは、地位でもお金でもなく、まさしく「自分らしく生きること」だな、と。すべてを手に入れようとするのではなく、大切なのはバランスですね。

神田 美輪明宏さんの言葉を借りるなら、「光が当たれば影ができる」ですね。つまり、光を得ようとすれば、必ず影ができます。光だけを求めて、完璧な人生を歩もうとすることなど所詮無理なのだと。

和田 失敗したり落ち込むことで、学びを得ることってとても多いですから。