「地方創生」の重責を地元金融機関に押し付ける<br />政府の無責任地域経済の活性化は、安倍政権にとっても重要課題だが…

「ローカル・アベノミクス」などとも呼ばれている安倍政権の地方創生だが、政府が6月30日に決定した基本方針においては、地域金融機関に大きな役割が期待されている。しかし、そもそも地方にもアベノミクスが必要なのだろうか。また、地域金融機関はその重責を担えるのだろうか。

地方創生で地域金融機関に
政府が寄せる多大な期待

 現在、省庁横断的な組織として「まち・ひと・しごと創生本部」が、2015年度末までに「地方版総合戦略」を策定する作業を進めている。6月30日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」では、地域金融機関の役割について以下のように多数記載されており、政府からの期待の大きさがわかる。

●DMOと連携した地元地域金融機関と日本政策投資銀行による民間事業化支援
(注:DMOとは、Destination Management/Marketing Organizationの略で、様々な地域資源を組み合わせた観光地域づくりの推進主体)

●ローカル経済圏を担う企業に対する経営判断や経営支援等の参考となる評価指標を整備し、地域企業に対する産業・金融の支援策における活用を図る

●地域金融機関等設立のファンドや日本政策投資銀行の特定投資業務等を含め、地方向けエクイティファンドの活用等を促す

●円滑な事業整理のための支援として、経営者保証ガイドライン(連載第44回参照)の利用促進、自己査定上の扱いの周知等により廃業しやすい環境の整備

●地域金融機関の持つビジネスマッチング機能の強化

●都市のコンパクト化等においては、戦略の企画や策定の段階から、各都市で事業活動を行なう地域経済界や金融機関等必要な投融資を行なう主体の参画を促す

●創業支援等の分野において、民間金融機関と政府系金融機関との具体的な協働案件の発掘・組成

●各地域にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域金融機関、民間人材ビジネス事業者などと密接な連携を図りつつ、都市部のプロフェッショナル人材の地方への還流を促す