上場大手の業績悪化
塗り替わる業界地図

 御三家による低価格攻勢の余波をまともに食らっているのは、三城HD、メガネトップ、メガネスーパーといった既存の上場大手チェーンである。

 2009年3月期には高級路線を貫いてきた業界最大手の三城HDが赤字に転落。今年3月には業界2位の「勝ち組」だったメガネトップ、かつてはディスカウンターとして一世を風靡したメガネスーパーも相次いで低価格攻勢を理由に業績予想の下方修正に追い込まれた。

 メガネスーパーに関しては、08年12月から「継続企業の前提に重要な疑義が存在」という注記がされており、危機的状況が続いている。かつての安売り王が一転して御三家に苦しめられているのだから皮肉な巡り合わせだ。

 そもそも、現在の低価格メガネブームが始まったのは01年。この年、Zoffが最も安い価格帯で5250円というスリープライスを打ち出し、御三家による安売りに、大手が対抗することとなった。

 当時の低価格メガネの一部は品質が悪く、メッキ加工が剥がれたり、部品が壊れたりして、いったんブームは下火になったのだが、06年にメガネトップが一律1万8900円(現在は1万5750円)、レンズの追加料金不要という「眼鏡市場」を立ち上げ一気にシェアを拡大したことで、価格破壊の動きが再燃した。

 眼鏡市場に追随して、三城HDやメガネスーパーなど大手各社がこぞって2万円以下の中価格帯商品を投入。ここに御三家が再び勢いを取り戻し、安売り戦争は泥沼化していった。

 眼鏡光学出版によれば、すでにメガネの平均価格は2万9814円(04年)から2万5877円(08年)に下がっている。4年で13%も安くなったわけだ。

 しかも、不況による買い控え、購買人口減少の影響もあって、国内メガネ市場は5459億円(04年)から4259億円(08年)にまで縮小した。

 「09年は4000億円を割っただろう。それでも、国内メガネ市場の50%は2万5000円以上の商品。価格破壊の流れを考えれば、市場縮小はまだまだ続きそうだ」と美濃部隆・眼鏡光学出版社長は分析している。

 ほんの少し前までは、高級路線の三城HDが販売金額トップ、メガネトップが販売本数トップで定位置となっていた。しかし、御三家の台頭で業界地図は大きく塗り替わりつつある。

 「消費者の需要は今後も低価格帯にシフトし続け、市場規模は年率2%で縮んでいく。企業の生き残り競争はさらに激化するだろう」(西木慶一郎・野村證券金融経済研究所アナリスト)。かつて街の個人商店を廃業に追い込んだ大手チェーンが今度はあべこべに淘汰を迫られる時代を迎えている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

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