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PSAと三菱自の資本提携
見送りの裏にあった温度差

週刊ダイヤモンド編集部
2010年3月23日
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 三菱自動車と仏プジョー・シトロエン(PSA)の資本提携が見送られた。両社は「依然不透明な環境下において、決断の時ではない」と声明を出したが、報道が先行しあっけない幕引きとなった裏には「当初から互いに温度差があった」(関係者)と見られる。

 急激に構造変化する自動車業界、再編機運は高まっている。中近東やアジアの開拓、スケールメリットの乏しさで焦りを募らせるPSAは交渉で「経営の主導権を握るべく出資比率にこだわった」(関係者)模様。だが2009年の最終損益は11億6100万ユーロ(1400億円)の赤字だ。数千億円もの出資には周囲の理解を含めて踏み切れなかった格好だ。

 一方の三菱自は過去、米クライスラー、独ダイムラー・クライスラーと2度の離婚で辛酸を嘗めており、外資受け入れが実利に至るかの見極めには慎重。「商品を軸とした協業拡大の先に自然な流れで資本を結べればいい」(同社首脳)と電気自動車やロシア合弁生産に加え、来年グローバル投入予定の小型車供給に意欲を見せる。

 提携見送りに対し、04年の同社経営危機以降、4400億円もの優先株を引き受け再建支援している三菱グループの関係者らは一様に落胆している。「本命PSAからの出資が優先株買い戻しの原資となり、厄介な問題から手を引ける」と大きな期待があったからだ。今期末からは200億円の配当が始まるはずだったが、三菱自は累積損失を8000億円以上抱え、無配は必至だ。

 当の三菱自の「優先株の処理ありきで出資をする相手などいない」という理屈はわかるが、悠長に構えてはいられないはずだ。当面はグループの支援が続けられるものの、長期にわたっては難しい。自動車メーカーの実力としても、年間販売百数十万台規模では、単独で生き残るのは厳しい時代だ。

 いったん棚上げとなったPSAとの交渉を再スタートするのか、それとも新たなパートナーを探すか。早急に新たな決断が迫られる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

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