前回、部下が上司に対して行うコーチングアップには重要な5つのスキルが必要であることをご紹介しました。

 今回は、そのなかの1つである「敬意と感謝のスキル」をご紹介しましょう。

敬意は「相対的」なもの
周囲と合わせる気遣いが必要

 敬意と感謝。これらはコーチングに限ったことではなく、社会人として生活していく以上、最低限、身につけておかなければならないことです。

 相手に対して敬意を払う、礼をつくすということと、相手に感謝するということは、意味合いの重なる部分が多いといえます。

 上司に力を貸してもらったときなど、上司に感謝の気持ちを感じているときには自然に敬意を払えるものです。しかし時には、心情的に素直に感謝の気持ちを伝えられないような場合もあるものです。そんな場合であっても、相手が上司である以上、最低限の礼儀をわきまえ、敬意を払う姿勢を持つことが必要です。

 敬意を示す方法は、大きく、「言葉による敬意」と「態度や表情による敬意」とに分類されます。態度や表情による敬意の示し方として、もっとも基本的なものが「お辞儀」「あいさつ」です。

 お辞儀のしかたについては、すでにマナーに関するさまざまな本が出版されていますので詳しくは紹介しませんが、やはり、おじぎを深めにして「ありがとうございました」と言うのが基本で、もっとも無難な方法だと思います。上司としても、口では「お辞儀なんてしなくていいよ」と言いながらも悪い気持ちではないはずです。

 あいさつは、当然のことですが、部下のほうから上司より先にすることが大切です。そして同時に、相手の呼び方に気をつける必要があります。

 一時期、あらゆる企業で盛んに「さんづけ運動」が行われたことがありました。どんな役職の人でも「さん」づけでいいよ、というものです。ところが実際には、平社員に「○○さん」と呼ばれた役員が、「なんだと!」と言って、途端に機嫌が悪くなるというケースがとても多く見られました。