数字以上に悪い「GDPマイナス成長」の中身マイナス成長は本当に「一時的」なものなのか?

事前予想並みのマイナスだが
中身は良くない

 2015年4〜6月期の実質GDP成長率は、前期比で▲0.4%(1〜3月期+1.1%)、前期比年率で▲1.6%(1〜3月期+4.5%)と3四半期ぶりにマイナスとなった。既に発表されていた各種統計より、市場では事前に▲1%台のマイナス成長が予想されていたので、数値自体はサプライズではなかったが、需要項目別に見た「中身」があまりよくない印象だ。

 市場予想対比では、消費が事前予想よりも大きく落ち込んだ一方で、在庫投資が事前予想よりも上振れた(厳密には、在庫削減ペースが事前予想より緩やかであった)。内訳をみると、これまで削減が続いていた製品在庫が、今回積み上がりに転じている。

 在庫の場合、その積み上がりが先行きの需要増を見越した積極的な積み増しなのか、それとも需要伸び悩みで消極的に積み上がってしまっているのか判断が難しいが、今局面では輸出や消費が落ち込んでいる点を踏まえると、どちらかといえば後者であろう。需要減で出荷が弱く、倉庫内に積み上がっているとみられる。消極的な在庫の積み上がりは、いずれ生産調整を通じて圧縮されることになるため、先行きの生産・GDPの下押し圧力となる点が懸念材料だ。

世界経済減速で落ち込んだ輸出
高まる節約志向で弱い消費

 市場予想対比の話はともかくとして、今回マイナス成長に陥った理由を振り返ってみる。前期比▲0.4%の成長率に対する寄与度をみると、内需が▲0.1%pt、外需(輸出−輸入)が▲0.3%ptとなっている。マイナス成長の主因は外需と言える。

 外需は2期連続でマイナス寄与となったが、1〜3月期と4〜6月期で意味合いが異なる。1〜3月期は輸出入とも増加、特に強い内需を受けて輸入の伸びが大きかったことが、外需寄与度マイナス化の主因であった。一方で4〜6月期は輸出入とも減少、特に輸出の落ち込みが大きかったため外需寄与度がマイナスとなっている。

 すなわち、同じ外需寄与度マイナスといっても、1〜3月期は国内外景気の強さを反映し、逆に4〜6月期は国内外景気の弱さを反映している。貿易統計等より判断すると、4〜6月期の輸出は主要地域・国向けが軒並み弱く、グローバル経済減速の影響が表れていよう。特に中国向けとASEAN向けが弱いが、近年ASEANでは輸出の対中依存度が高まっており、中国経済減速の影響が間接的に表れていよう。