昭和30年代以降、全国の都市部郊外に続々と建てられたニュータウン。計画的に豊かな住環境を整えた街だったが、現在は少子化、住民と建物のダブル高齢化、空き家の増大と地域コミュニティ崩壊などの課題に直面している。その一方で近年、郊外にはそうした課題への解決策をあらかじめ盛り込み、さらに未来志向の機能を備えた大規模複合開発が幾つも生まれている。

藤沢SST
2018年に全街区が完成
その後もずっと100年続く街に 

sstJR東海道本線「辻堂」駅徒歩19分。街の入り口(ウェルカムガーデン)。非常時には防災拠点になる

 パナソニックが、旧藤沢工場跡地約19.3万平方メートルに、戸建て600戸、マンション400戸からなる国内最大級のスマートタウン・Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、藤沢SST)をつくっている。すでに住民が暮らし始めているかたわら、開発はまだまだ続き、2018年度に完成予定だが、街づくりはそこでは終わらない。

「スマートタウンは最先端のテクノロジーを使うイメージが強いと思いますが、ここはあえて、100年続く生活スタイルの提案から入りたいと考えました」(パナソニックCRE事業推進部藤沢SST推進課主務・和田昌子氏)

 08年に開発が始まって、完成までの10年間は街の生成・構築期。全体目標やガイドラインを定め、街の仕組みやサービスを構築していく。その後30年ずつ(ほぼ3世代)、成長期、成熟期、さらなる街の発展期があるのだという。

「一度に分譲しないのは、世代が偏り、小学校のキャパシティを超えるなどのトラブルが起きるのを避けるためです。その一方で、商業施設の湘南Tサイトができて周辺住民の方が数多く街に入ってこられるようになり、開放的になりました。来年には健康・福祉・教育施設もできます。自治会組織の藤沢SSTコミッティも活動を始め、それを街全体を管理する会社、SSTマネジメントがサポートしていく仕組みです」(和田氏)