子どもからシニアまで各世代が元気な理由

 キャンパス一番街に住む篠原晋寧さんは、6年前に入居して、当初は勤務先の秋葉原に通っていた。

「街ができたばかりで何もなかったけれど、伸び代はあると思いました。その後、子どもが生まれて外出できない時期が続き、住民のお母さんたちとの交流が盛んになりました。いったんは職場復帰しましたが、海外出張など無理ですし、中途半端は嫌だったので、思い切って独立しました」という。

mamaT代表 篠原晋寧さん(KOILにて)

 仕事はつくばエクスプレス沿線の子育てママの情報サイト「mamaT(ままてぃ)」の運営。篠原さんがオフィスを構えているのは、駅前の柏の葉オープンイノベーションラボKOIL(コイル)で、同じフロアに多くの起業家がデスクを置いている。

「こうした土壌があることが、非常に力になってます」と篠原さんは言う。

 こうして起業家が集まることで、街が活気づくともに、昼夜人口差が是正され、世代格差の平準化にも結び付けていく。

 ただし今はまだ、そこまではいっていない。子育て世代が多く、毎年、同じマンションで60~70人が出産するというベビーラッシュが起きており、保育園を新設しても追い付かず、復職できない母親も多い。今は“2人目”ブームで、やがて学童保育不足にも直面するはずだ。

 それでもこの街の住民は、課題解決策を自分たちの手で編み出そうとしている。新鮮な地元の農産物が並ぶ朝市(マルシェコロール)や、子どもの職業体験への取り組み(ピノキオプロジェクト)、子どもからお年寄りまでを対象とする「まちのクラブ活動」、子どもの思考力や判断力、表現力を育む「未来こども学校」など、ユニークな住民活動は極めて盛んだ。

 公民学連携ゆえ、さまざまな人が知恵を絞り、街と人を育てる場をつくっているわけで、こういう街に住む子どもたちは、貴重な経験をたっぷり積めるだろう。

「街中どこでも子育ての場です。キャンパスの中はオープンで住民が入ってもOKなので、子どもを遊ばせながらワイワイ楽しんでいます」(篠原さん)

 少子高齢化日本であることを忘れるくらい、柏の葉では子どもたちも親も、アクティブシニアも、共存共栄で元気なのである。 

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