中国 2015年9月1日

中国人は本当に歴史を尊重しているのだろうか?
-世界遺産の廬山で感じたこと

2006年に中国に移住し、蘇州、北京、広州、そして08年からは上海に在住。情報誌の編集長を経て現在はフリーランスとして活躍する大橋さんの中国レポート。義父の知人の招待で訪れた江西省で見た中国人の商魂逞しさ。歴史的建造物も名所も利益優先で、景観や風情が損なわれることに……。

 書籍『橘玲の中国私論』(ダイヤモンド社刊)の「幇とグワンシ」の章で触れられているように、私の義父は文革末期の頃、軍隊に所属し、そこで知り合った友人とはいまでも結束がかたい。

 先日もそのひとり、王さん(仮名)の招待で、私家族も一緒に江西省を訪れることになった。王さんは建設会社を経営。先日、娘のために500万元(約9720万円)のマンションを購入したというから、それなりのお金持ちだ。

 王さんは、仕事で南昌市に足しげく通っている。工場の建設を請け負い、竣工したものの、代金が未回収のままだからだ。

 代金の未回収に頭を悩ませている日系企業は多いが、中国人同士でさえよくあることなのだ。こうした後ろ向きな目的の南昌出張にもかかわらず、王さんはこの機会を利用して友人らをたびたび旅行に招待していた。中国人らしいプラス思考だ。

近代史の舞台となった江西省

 江西省は、中国共産党の歴史において重要なエリアだ。

 1927年4月、国民党は共産党員ら左派を警戒し、蒋介石が上海クーデターを起こし、共産党を弾圧。南京に国民政府を樹立した。それを受け、共産党は江西省南昌市で8月1日、武装蜂起した。いわゆる南昌起義(蜂起)だ。

 これをもって第一次国共合作が終了。この日は建軍記念日になっている。南昌市中心部にある八一広場には、記念の塔が建てられている。

南昌起義を記念した党が建つ八一広場。8月1日を2日後にひかえていたが、観光客はほとんどいなかった【撮影/大橋史彦】

 国民党軍の包囲を受け、共産党は南昌の維持に失敗するが、毛沢東らが率いる中国工農紅軍は江西省井崗山を拠点とし、農村部での求心力を高めていった。

 31年に樹立した中華ソビエト共和国は、同省瑞金を首都とした。そして江西省でもう1カ所、重要な歴史の舞台となったのが九江市にある廬山だ。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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