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美人のもと

チカちゃん

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第53回】 2010年3月29日
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 美人の情報は正確だ。美人は不確かなことを口にするのが苦手なのではないかと思う。間違った情報を与え、人に迷惑をかけるのが嫌なのだろう。

 しかし、世の中には不確かな情報を話すことこそが好きだと言う人が結構いる。不正確でも「誰よりも早い」情報を届けたがる人だ。情報通と呼ばれることに命をかけているような。「ひみつのアッコちゃん」に出てくるチカちゃんだ。少し考えるだけで身の回りのチカちゃんを思い浮かべることができる。実際に思い浮かべてみよう。美人ではないことが多い。不確かなことを話すと「美人のもと」がなくなっていくのではないだろうか。

 街のチカちゃんの動きを考えてみる。とにかく噂話が発生する場所に敏感だ。情報源をいくつも持っている。そこは「美人のもと」を減らす場なのに。噂話を話す人も聞く人も表情が悪い。その場は必要以上に声が小さい。コソコソ声の時、人の顔は歪みやすい。変な所に力が入るのだろうか。そして、聞き取りにくい声を聞く時も、人の顔は歪む。眉間に皺が入り、目だけが大きく開く。たぶん耳の穴が広がらないのでかわりに目を広げているのだろう。そういう悪い表情の時間こそが「美人のもと」を減らすのだろう。

 噂話には誤報が多い。チカちゃんのたまり場では情報が早いが、その正確性は低い。正確であることは重視されない。その場では事実と虚偽が混在している。もともと正確な話でも、チカちゃんたちは話に尾鰭をつけ、話を面白く仕立てる傾向にあるため、事実から離れていってしまう。そんな中で生活しているため、実際何が真実で何が嘘なのかがわからなくなっていく。客観的な正誤の判断が苦手になり、自分が基準になってしまう。誤報が多いと自然とまわりに人が集まらなくなっていく。その人を引きとめようとさらに新情報を提供するが、相手にしてくれる人はさらに減る。さらに「ここだけの話」を「みんなの話」にする。「言わないで」と言われると言いたくなる。そうなると付き合う相手もチカちゃんたちだけになってしまい、その場にいると自らの「美人のもと」低下に気づかなくなっていく。

 美人は噂話に距離を置く。冷静に事実を判断している。情報を客観的に捉え判断している。他人の噂話には深入りせず、笑顔で聞いている。チカちゃんの場の顔にならないように。

 

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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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