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金融市場異論百出

中国が人民元を切り下げた背景
日本で流れる通説に「異議あり」

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2015年8月27日
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中国人民銀行は、人民元の売買で基準となる対ドル為替レートの「基準値」を3日連続で引き下げた Photo:REUTERS/アフロ

 中国・上海や北京のスターバックスに行くと、ラテの価格上昇の激しさに驚かされる。ただし、それは円換算した場合の話である。

 上海のラテ・トールサイズは2003年暮れで22元、今年8月で27元だ。12年弱で23%の上昇だから、中国のインフレを考慮したら大した上昇率ではない。しかし、8月7日時点の為替レートで計算すると、上海のラテは540円、円換算の上昇率は90%だ(東京は現在399円)。人民元高と円安の進行がその背景にある。

 スタバの価格に限らず、生活実感でいうと人民元はやや高過ぎる水準にきていた。だからこそ、中国からの買い物客が日本や欧州へ大量に押し寄せている。今年に入って中国経済の減速は顕著となり、株価の暴落も生じた。本来ならば、人民元は下落してよいはずだったが、中国人民銀行(中央銀行)は対ドルレートが下がらないように人為的に支え続けてきた。

 国際決済銀行(BIS)が集計している名目実効為替レートを見ると、61地域の中で05年6月(人民元切り上げ開始直前)からこの7月にかけて、最も上昇率が高かった通貨は人民元だった。インフレ率を勘案した実質実効為替レートでも、中国は2位と上位にいる。

 ただし、1位のベネズエラの経済は混乱状態にある。公式統計と異なって、年率800%のハイパーインフレになっているとの説もある。本当の実質実効為替レートが分からない同国を除けば、上昇率1位は中国となる(ちなみに、同レートの下落率1位は日本円)。

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