イチローの日米通算記録が米で高評価、「自虐球史観」はもう古い

 先週は清宮幸太郎(早実)、オコエ瑠偉(関東第一)、小笠原慎之介(東海大相模)、佐藤世那(仙台育英)といった注目選手がいるチームがベスト4に勝ち上がったこともあり、高校野球に話題が集まったが、そんな中、アメリカからうれしいニュースが飛び込んできた。

 イチロー(マーリンズ)のプロ野球通算安打数がMLBで第2位にランクされるタイ・カッブの4191を超えたというものだ。

 タイ・カッブはMLBで1905年から1928年まで24年間プレー。ルーキーイヤーを除いた23年間はすべて打率3割以上を打ち、4割以上も3回記録している。生涯打率はなんと3割6分7厘。通算安打数も1985年にピート・ローズに抜かれるまで1位を続けてきた。アメリカ野球殿堂入り第一号であり、「球聖」とも呼ばれている。

 イチローがその偉大なタイ・カッブの記録をピート・ローズに次いで超えたということでニュースになったのだ。

敵チームのイチローに拍手を送った
セントルイスでの感動的シーン

 ただし、イチローの通算安打数は日本のプロ野球(オリックス)の9年間で打った安打数1278本を加えたもの。もちろんMLBでは正式な記録として認めていないし、「そもそも国が異なるリーグの記録を合算すること自体、ナンセンス」という声がファンにはある。とくに熱心な野球ファンほど、その傾向は強いようだ。

 そうしたファンの受け止め方は、こんな感じだろう。「アメリカと日本では野球の質が違うし、選手の育成環境(層の厚さ)も異なる。イチローがすごい選手であることは認めるが、21歳でレギュラーに定着してヒットを量産できたのは日本のプロ野球だからであって、MLBではプレーできたかどうかも分からない。それを無理やり合算してMLBの記録を抜いたなどと騒いでいるのは日本のスポーツメディアだけだ」と。

 もっとも、このような受け止め方をしているのは、むしろ日本のファンの方で、アメリカのファンはそれをあまり気にしていないようなのだ。

 まず、記録達成のシーンにそれが表れていた。試合が行われたのは15日、対戦したセントルイス・カージナルスの本拠地・ブッシュスタジアム。2番ライトで出場したイチローは1回の表、ライト前にヒットを打って記録を達成したのだが、映像を見るとその瞬間は敵チームの選手のヒットということで球場内は静かだった。また、敵地ということもあって記録のアナウンスなどはなかったようだ。