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佐藤可士和の打ち合わせ
【第15回】 2015年9月2日
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佐藤可士和 [アートディレクター]

打ち合わせの成否は
「ラスト5分」にかかっている

打ち合わせはあまりにも身近で、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしています。そして、たくさんの打ち合わせの経験からいかにそれが大切なものか『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)で述べています。
連載最終回は、打ち合わせ後決定事項を遂行することの重要性をお伝えしていきます。1時間ないし2時間の打ち合わせを生かすも殺すも、具体的な業務に落とせるかどうかにかかっています。着実な一歩が踏み出せるような打ち合わせの仕方をお伝えします。

打ち合わせ
「最後の5分」で勝負は決まる

佐藤可士和(さとうかしわ)
博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 テレビの生放送で、ときどきエンディングがブツリと切れてしまうことがあります。司会者やアナウンサーの挨拶ができずに終わってしまったり、全部うまく入らず途中で切れてしまったり。これは見ていて、ものすごく気持ちが悪くなります。
 すっきり終わってくれないと、どうにも居心地が悪いのが人間です。居心地が悪いままで終わってしまうと、すんなり次に切り替えができない。次のことが考えられないのです。

 同じように打ち合わせも、終わりは極めて大切です。前回「終わり方」を意識するべきだと書いたのは、時間を無駄にしてはいけない、ということに加え、おかしな終わり方を続けると、プロジェクト全体にネガティブな余韻をもたらしかねないからです。

 そこで大事にすべきなのが、最後の5分です。この時間を、その日の打ち合わせについての確認の時間に充てる。決まったこと、決まらなかったことをはっきりさせるのです。

 これをやらないと、生中継が途中で切れたテレビのような気分になってしまう。逆に、これがあることで、しっかり打ち合わせを終えられるのです。

 このラスト5分を気持ちいいものにするためには、打ち合わせの流れを意識していなければなりません。終わり15分前には、まとめ的なムードに持っていかなければ、ラスト5分のまとめはできないでしょう。
 よって、逆算して終わり15分前までに何をしていなければいけないかを、考えておく必要があります。特に打ち合わせを仕切る人は、全体の流れをしっかり把握し、コントロールしておかなければいけないのです。

<POINT>
打ち合わせポイント(58)終了15分前には、まとめ的なムードに持っていく
打ち合わせポイント(59)最後の5分を、その日の打ち合わせについての確認の時間に充てる

打ち合わせ後、すぐに
実作業に移れるか

 最後の5分では、打ち合わせに出席しているスタッフのタスクも、その場で確認します。何をいつまでにやるのか。実作業に落とし込めるまで伝えます

 打ち合わせに出席して話を聞いているのだから、具体的なことは言わなくてもわかるだろう、という楽観的な考えは危険です。打ち合わせで決められることは、意外に抽象的なことが多いからです。

具体的に何をしなければいけないか、はっきりと伝えたほうがいい。そうでなければ、スタッフは間違ったタスクを理解しかねないのです。
 企業によっては、教育的な意味合いもあって、打ち合わせ後に具体的な指示を出さずに委ねてみるケースもあるようです。自分で考えさせて成長を促す、というものです。
 しかし多くの場合、これはうまくいかないと僕は思っています。一週間後に部下から上がってきたものを見て、「いや、違うんだよ」ということが本当によく起こる。ここから、ようやく具体的な指示を出してやり直すということになると、大変な時間がかかります。
 打ち合わせは「試合」であり「本番」です。こういうところでも「練習」と捉えてはいけないのです。あくまで試合であり、本番。その緊張感を持たないといけない。

 では、どうするのかというと、上司やリーダーは、バンバン具体的な指示を出すのです。それでは部下の成長につながらない、という声が聞こえてくることもありますが、学び取れる部下というのは、それで十分学び取ります。
 しかも、上司から求められていることがはっきりわかりますから、ぶれなく仕事を覚えていくことができる。

 これは僕の経験ですが、だんだんと僕が言った以上のこと、「プラスα」のことをやってくるようになります。仕事のステージがひとつずつ上がっていくのです。
漠然と任せるのではなく、具体的に指示して任せる。これが、打ち合わせ後の「実作業」のポイントです。
 場合によっては、外部の人間としてクライアントにお願いをしなければいけないケースも出てきますが、そういうときも、かならず具体的にお願いするようにしています。

 少し不安があるようなら、「この先、やるべき作業は見えていますか?」と僕はかならず尋ねます。優秀な人であればあるほど、わからないときには、ちゃんとわからないと言ってもらえるものです。
 そうなれば、「では、次にやるべき作業を一緒に確認していきましょう」というプロセスに進むことができます。次の作業がイメージできていないと、僕もクライアントも両方、困ってしまう。
 それをずれたものにしないためにも、しっかり打ち合わせの終わりに確認する。お互いが、具体的に理解をしておくことが大事なのです。

 打ち合わせは仕事の時間の大半を占めながらも、その基本を教えてもらえる機会はほとんどありません。そのため、十分なキャリアがありながらも上手な打ち合わせができていない人は意外に多いのです。
 拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)は、そんな課題をクリアさせるために書きました。今回の連載には、本に書いたことのエッセンスを紹介してきました。しかし、実はまだまだ伝えたいことはたくさんあります。さらに深く打ち合わせを学びたい人はぜひ本著を手に取ってみてください。
 打ち合わせに悩むすべての方に、私の打ち合わせ術が届くことを願ってやみません。

<POINT>
打ち合わせポイント(60)言わなくてもわかるだろう、とは考えない
打ち合わせポイント(61)何をいつまでにやるのか、その場で確認する
打ち合わせポイント(62)すぐ作業に移れるよう、なるべく具体的な指示を出す
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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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