橘玲の世界投資見聞録 2015年9月3日

中国・丹東、鴨緑江沿いの街から「謎の国」北朝鮮を覗いてみた
[橘玲の世界投資見聞録]

 8月4日、韓国と北朝鮮の軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)で地雷が爆発し、韓国軍の下士官2人が脚の一部を切断する重傷を負った。この事件を機に南北朝鮮の関係は一気に緊張し、20日には北朝鮮が韓国の拡声器に向けて砲撃し、韓国側も応射した。

 北朝鮮は砲撃の直後、国境での韓国軍の政治宣伝放送を48時間以内に停止しなければ軍事行動を起こすとの書簡を韓国側に送った。17日からは米軍と韓国軍の年次合同軍事演習が行なわれており、北朝鮮の金正恩第一書記が前戦に「準戦時状態」を布告したとの報道も流れた。

 幸いなことに8月25日未明、南北高官会談において、北朝鮮が地雷事故に遺憾の意を表明するとともに、韓国が政治宣伝放送を中止することで合意し、事態は解決へと向かった。北朝鮮が実質的な謝罪に追い込まれたのは、朝鮮半島の混乱を嫌う中国が金第一書記に強い圧力をかけたからだといわれている。世界から孤立した北朝鮮は、国家としての生命線を全面的に中国に握られており、中国の意に反することはできないのだ。

 中国と北朝鮮の関係はどうなっているのだろうか。今年の5月、中朝国境の町・丹東を訪れたので、古くならないうちに紹介しておきたい。

北朝鮮対岸の街・丹東は中朝貿易最大の拠点

 鴨緑江に面した人口240万の丹東(Dandong)は、20万人以上の朝鮮族が暮らす中朝貿易最大の拠点だ。空港もあるが市の中心部から15キロほど離れており、公共交通機関はなく、空港で客待ちするタクシーを利用するのは旅行者かビジネスマンだけなので、問答無用でホテルまで300元(約6000円)かかる。一方、2005年に開通した丹大高速道路なら大連まで約5時間、運賃は99元(約2000円)だから、このルートを利用して大連から往復するひとがほとんどだろう。

 街の中心部はご覧のように高層ビルが建ち並んでおり、訪れたのが5月の連休だったからか、若いカップルの姿も目立った。

丹東の中心部。若いカップルの姿も多い

 鴨緑江に向かう一角には朝鮮族のレストランが集まる通りがあり、20軒ほどが軒を並べている。名物は平壌冷麺だが、客のほとんどは中国人で、みんな焼肉を食べていた。メニューは韓国料理店とほとんど区別がつかず、私の語学力では、店のひとたちがここで暮らす朝鮮系中国人なのか、北朝鮮からの出稼ぎなのか、あるいはビジネスの機会を求めて韓国からやってきたのかはわからなかった。

朝鮮レストランが並ぶ一角
名物の平壌冷麺。店ごとにレシピはちがうらしい

 こうした大衆朝鮮レストランのほかに、鴨緑江の河畔には北朝鮮政府経営などの高級なレストランが並んでいて、豪華なチマチョゴリ姿の女性たちが歌舞音曲を披露してくれる。客の大半は中国人の政府関係者か富裕層で、夜は満席になるので予約が必須なのだという(以前、延吉で行ったので今回はパスした)。

チマチョゴリ姿の女性が入口に立つレストラン

 

 休日とあって鴨緑江沿いの遊歩道は観光客で賑わっていた。彼らの目当ては“謎の国”北朝鮮を見ることで、ご覧のように川岸にはずらりと望遠鏡が並べられている。チマチョゴリ姿の撮影会も行なわれており、この一角全体が「北朝鮮テーマパーク」といった雰囲気だ。

対岸の北朝鮮を望遠鏡で覗き込む観光客
チマチョゴリを着て撮影会

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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