ドイツ・ベルリン市内で開催中の国際家電見本市「IFA2015」の会場で、パナソニック・アプライアンス社の楠見雄規副社長が週刊ダイヤモンドなどのインタビューに答え、欧州市場における白物家電の拡大戦略などについて語った。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 中村正毅)

──欧州市場における白物家電の状況をどう捉えているか。

開拓余地がある欧州市場で<br />白物家電の売り上げ2倍に<br />──パナソニック・アプライアンス社 楠見雄規副社長楠見雄規(くすみ・ゆうき)/1965年生まれ、奈良県出身。89年京都大院卒、松下電器産業(現パナソニック入社。技術本部、ヨーロッパ松下電器、AVCネットワークス社などを経て、15年4月から現職。
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 独ボッシュ、独ミーレなど大手がいるなかで、パナソニックとしての売り上げ、シェアはまだまだ小さい。美容分野でいえば蘭フィリップスなどが非常に強く、我々が日本で販売しているような製品を量販店に並べるだけでは、販売は難しい。プロ用の電動トリマーでヘアサロンの販売ルートを狙うなど、プレミアム分野は開拓の余地がある。

 冷蔵庫は鮮度を長く保つ独自の技術、洗濯機はセンシングによって最適な洗浄をする技術など、欧州メーカーにはない機能で、販売を広げる。2018年度に向けて。欧州での白物の売り上げは倍(約900億円)にしたい考えだ。

──欧州市場のパナソニックの白物の存在感が薄いのは、どこに問題があるという認識か。

 これまで構造改革を進めてきた中での、人材をはじめリソースの問題はひとつ大きかった。ただ、国ごとに文化や特性が異なる中で、欧州という大きなくくりでしか市場をとらえていない部分があったのもたしかだ。私も2000年代のはじめに英国に駐在していたが、同じ欧州でも英国とほかとでは全く生活環境や習慣が違う。

 そういう当たり前のことをしっかりと認識せずに、容量の大きい冷蔵庫が市場で支持されているからと、中国の工場からわざわざ関税を払ってまで欧州向けにと持ってきていたりもしたが、そういったことはもう止めた。

 率直に言えば、市場と真摯に向き合いきれていなかったということだろう。