株式レポート
9月7日 11時21分
マネックス証券

中国株 調整一巡後反発か 貿易統計や消費者物価指数などに注目 - 中国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

先週の中国株式市場
―中国株 続落 PMIの悪化で経済減速懸念が強まり―

<先週の概況>

先週の中国株式市場は大幅に下落しました。ハンセン指数は週間で3%余り下落し、2万0840ポイントで終了しました。また、上海総合指数は週間で2%近く下落し、3,160ポイントとなっています。

上海総合指数は、抗日戦勝記念式典を控え、当局からの株価対策が続いたものの、8月中国公式のPMIが49.7と好不況の50を下回ったことから景気減速懸念が燻り、週間で売りが優勢となり、3,200ポイントを割り込んで取引を終えました。

中国株式市場バリュエーション

業種別リターン

香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

香港市場では、ハンセン指数採用銘柄のうち週間で上昇したのはわずか2社に留まりました。海運業界の再編期待から招商局国際(海運サービス、0144)は週間で1%余り上昇しました。また、百麗国際控股(ベル・インターナショナル・ホールディングス、繊維・アパレル、1880)は値ごろ感から大きく買われて、週間で約3%上昇しました。

<下落>

中国中信(CITIC、コングロマリット、0267)は子会社の中信証券(60030)の役員4人がインサイダー取引の疑いで刑事強制処分を受けたことが嫌気され週間で12%売られました。また、リスクオフムードが強まる中、原油価格が反発したにも拘らず、中国石油天然気(ペトロチャイナ、石油・ガス等、0857)や中国石油化工(シノペック、石油・ガス等、0386)などのエネルギー株が大幅に下落しました。さらに、康師傅控股(ティンイー、食品、0322)や中国蒙牛乳業(チャイナ・メンニウ、食品、2319)などの小売株も軟調に推移しました。

先週発表された主な経済指標

9月1日 中国製造業PMI 8月 49.7 市場予想 49.7 前月 50.0

8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と、市場予想通りながらも6か月振りに景気拡大・後退の分かれ目となる50を下回り、3年振りの低水準となりました。ただ、8月分の低下には天津での大型爆発事故や、北京周辺での抗日戦勝記念式典に伴う(環境汚染のもとになる)工場の強制停止などの特殊要因があります。

内訳をみると、生産(52.4→51.7)、新規受注(49.9→49.7)、新規輸出受注(47.9→47.7)、雇用(48→47.9)、輸入価格(47.8→47.2)等、軒並み悪化しました。

今後発表される主な経済指標

9月8日 中国貿易収支 8月 市場予想 +480億ドル、前回 +430.3 億ドル
    輸出 8月 市場予想 -6.7%、前回 -8.3%
    輸入 8月 市場予想 -8.0%、前回 -8.1%

8月の中国の輸出は前年比6.7%減、輸入は8%減と予想されています。こうしたなか8月の貿易収支は480億ドルの黒字となり、前回から増加すると見込まれます


9月10日 生産者物価(PPI、前年比) 8月 市場予想 -5.6%、前回 -5.4%

PPIの先行指標である中国製造業PMIの輸入価格指数をみると、前月の47.8から47.2に小幅悪化したため、8月のPPI は-5.6%と前月から下げ幅を拡大すると見込まれています。


9月10日 消費者物価指数(CPI、前年比) 8月 市場予想 +1.9%、前回 +1.6%

一部食料関連価格が上昇したことを受けて、8月のCPIは前年比+1.9%の増加と予想されています。


マーケットビュー
―中国株 調整一巡後反発か 貿易統計や消費者物価指数などに注目―

本土市場は3日と4日が抗日戦勝記念式典で休場となるなか、上海総合指数が3日間で2.2%安と3週連続での下落となりました。中国の証券最大手、中信証券の役員がインサイダー取引の疑いで処分されたことや、1日に発表された製造業PMIが3年ぶりの低水準となったことなどが嫌気されました。前場に下げて後場になると買戻しが入るという展開で下げ渋る場面もみられたものの、上海総合指数は結局3,200ポイントを割り込んで取引を終えています。

今週の本土市場は売り一巡後に反発する展開が予想されます。4日にインドネシアが高速鉄道を導入しないことを決め日中双方の事業案の採用が見送られたことや、抗日戦争勝利70周年の記念式典で習近平国家主席が「中国軍の人員を30万人削減する」と明言したことを受けて、鉄道株や軍需株が大きく売られ、相場の重石となりそうです。しかし、5日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、中国人民銀行の周小川総裁が「元相場は安定に向かい、株式市場もおおよそ落ち着いた」「改革を深化するという中国政府の決心に変わりはない」などと主張したこと、また昨夜(9月6日)に中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)のスポークスマンが「信用取引のリスクが相当程度低下したほか、投資家の流動性は良好であり、今後市場が異常に変動する場合は中国証券金融が引き続き多様な手段を通じて市場を安定させる」と明言したこと、さらに証監会が株価指数先物取引にサーキットブレーカーという制度を導入することを検討していることも投資家心理の改善にある程度つながるとみられます。このため心理的な節目である3,000ポイントがサポートとして意識されるなか、売り一巡後の反発が期待されます。

香港市場は3日が抗日戦争勝利70周年記念の祝日のため休場で4日間の取引となるなか、ハンセン指数は週間で3.6%安と7週続落となりました。週明け8月31日は金融株を中心に買い戻しが入り小幅反発となったものの、その後は売りが優勢となりました。とりわけ、中国製造業PMIの悪化が嫌気されたほか、中国当局が株価操作への「捜査協力」で英ヘッジファンドの現地トップを拘束したと伝わったことでリスク回避のムードが強まりました。

今週のハンセン指数は、先週末の米国市場が利上げへの警戒感が強まり大きく下落したことから、大幅続落でのスタートとなりそうです。また、中国で8日-10日にかけて主要の経済指標発表を控えていることで様子見となりやすいことも相場の重石となりそうです。こうしたなか本土市場の反発に伴い香港市場も持ち直す展開となるかがポイントになりそうです。

なお、今週の9月8日には中国8月の貿易統計が、10日には中国の8月の消費者物価指数と生産者物価指数の発表が予定されており注目されます。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

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