果糖が腸内の「悪玉菌」を養う

 果糖を食べることは、ウエストラインに悪いだけでなく、いくつかの点で心臓病や動脈損傷の原因にもなる。1つ目は、前述したとおり、中性脂肪値を高めること。これは心臓病の前兆という定説がある。また、皮膚や動脈の主な結合組織であるコラーゲンなどのタンパク質や脂肪と結合しやすく、コラーゲンと結びつくと有害な終末糖化産物(AGE)を生成する(「糖化」とは糖の分子がタンパク質、DNA、脂肪と結合すること)。

 うまく名づけたもので、この「終末産物」は老化のプロセスに一役買い、体内に酸化ストレスを加えていく。AGEは肌のしわの主要因であるばかりか、動脈も老化させ、アテローム性動脈硬化症を引き起こすおそれもある。

 果糖はそのうえ腸内の悪玉菌を養って、体にダメージを与える。消化管に入った果糖を病原菌が選択的に食べ、繁殖するのだ。これは小腸内細菌過剰繁殖(SIBO)という病気が起こる理由の一つのようだ。

 果糖が大好きな悪玉菌の中には、自身の代謝の副産物として尿酸を生成するものもある。体内に尿酸が蓄積されすぎると関節や皮下に、あるいは腎臓にも、尖った結晶が沈着して、腎結石を生じることがある。この尿酸の沈着が全身にできたとき、最も痛くてつらい関節炎とされる「痛風」を発症する。