鳩山内閣の見慣れた混乱

  民主党政権が目指す日本郵政の事業の見直しの中で、郵便貯金の限度額が一人当たり2000万円に引き上げられることが決定した。

 この決定の過程では、政権内で意見の衝突があり、またもや、鳩山首相のリーダーシップが問われる展開となった。

 鳩山首相を外から見ると、「よろしく」「頼みます」などと言われたら、誰にでも反射的に友愛して「分かりました」と了承し、状況が変わったら鳥のように物忘れして前言を平気で翻す、といった様子に見えるのだが、ご本人は、どう思っておられるのだろうか。

 もっとも、この見慣れた混乱のおかげで、政治的には、分かったことが多かった。

 選挙を前に多くの民主党議員が郵政関連の組織票の意向に逆らうことが出来ないこと、この構図を見切りつつ、小沢一郎民主党幹事長と通じていたらしい亀井静香郵政改革担当相の老練な駆け引きと、対照的に、仙石由人行政刷新担当相をはじめとする巷間反小沢と呼ばれる人達の結束が緩く政治的な立ち回りが幼いことや、その仙石氏にしても、郵政問題に関する自らの意見よりも閣僚ポストが大切であるらしいことなど、いろいろなことが見えた。

 この結果、亀井氏の国民新党は票を増やしたものの、民主党については郵政票を固めた効果よりも世間があきれたことによる票の減少の方が大きくなったのではないだろうか。