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あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか
【第1回】 2015年9月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
津田 久資

“ヒット商品が出ない人”に共通する
「しまった!!」の敗北とは?

あるテレビ番組を見ていたときのこと。
「みんなに人気のパン」ランキングが紹介されていた。

3位はあんパン。
2位はメロンパン――。
では、1位は?

「1秒」考えてみてください。

クリームパン? ジャムパン? カレーパン?

いろいろな答えが思い浮かんだと思う。
では、実際に1位だったのは?

なぜ僕たちは「一番人気」を言い当てられないのか?

答え、1位は「食パン」だ。

きっと多くの人が拍子抜けするはず。
みなさんの「な~んだ、そんなことか!」「えー、それはないよ~」という心の声が聞こえてきそうだ。
何を隠そう、番組を見ていた僕自身も同じ感想を抱いた。

でも考えてみてほしい。
多くの人が「人気第1位であるはずの食パン」を思いつけないというのは、ちょっと不思議ではないだろうか?

「食パン」を発想できた人は、どう考えているか?

津田久資(つだ ひさし)
東京大学法学部、および、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院(MBA)卒業。
博報堂、ボストン コンサルティング グループなどで一貫して新商品開発、ブランディングを含むマーケティング戦略の立案・実行にあたる。
現在、AUGUST-A株式会社代表。また、アカデミーヒルズや大手企業内の研修において、論理思考・戦略思考の講座を多数担当。シンプルな言葉で思考の本質に迫る研修スタイルに定評があり、のべ1万人以上の指導実績を持つ。
著書に『ロジカル面接術』『世界一わかりやすいロジカルシンキングの授業』など。

 「ビジネスの世界はスピードだ」と言われる。それは全面的に正しい。
これは突き詰めて言えば、「優れたアイデアを発想・実現するスピードが早ければ早いほど、そのビジネスで勝てる可能性が高い」ということだ。

だが、そのアイデアはどこから来るのだろうか?
アイデアを発想できたりできなかったりするとき、頭の中では何が起きているのか?
「1位=食パン」を発想するには、どんな頭の使い方をすればいいのか?

たとえば、ヒット商品の開発というのは、この食パンを探り当てる行為に似ている。

 「みんながほしがるのに、みんなが見過ごしているもの」についてのアイデア。
そして、それをあなたが拾い上げた瞬間に、周囲の人が「な~んだ、それなら自分も思いつけたよ」「しまった! 先を越された~」と地団駄を踏んでくやしがるようなアイデア。

それにたどりつくための「頭の使い方」は、たしかに存在する。
しかもこれは、いわゆる「頭のよさ」や「学力」とは無関係である。

アイデアの戦場での勝敗には3パターンしかない

では、思考力で競合に打ち勝つというのは、そもそもどういうことなのだろうか?
それは思考の成果、つまりアイデア(発想)において、相手よりも優位に立つことである。

逆に、発想においてライバルに負けるときには、次の3パターンしか存在しない。

(1) 自分も発想していたが、競合のほうが実行早かった
(2) 自分も発想し得たが、競合のほうが発想早かった
(3) 自分にはまず発想し得ないくらい、競合の発想優れていた

このうち、(1)はいわば「実行面の敗北」である。アイデアの発想に至るまでのスピードは同じくらいだったが、それを実現するまでの時間で、敵に先を越されたというパターンだ。そう、ビジネスはスピードである。

また、(3)はいわば「完敗」である。これは、競合がアウトプットした発想が、あなたが発想し得たすべてのアイデアよりも優れており、たとえどれだけ時間があったとしても勝ち目がなかったことを意味している。

これに対して、(2)「惜敗」とも言うべき敗北だ。つまり、与えられた時間がもう少し長ければ、あるいは、もう少しがんばって考えていれば、あなたも発想し得たアイデアを、相手が先に思いついてしまったというケースである。

アイデアにおける「敗北」には実は3パターンしかない

回避するなら「いちばんくやしい敗北」

この3つの敗北のうち、思考力による逆転が有効なのはどれだろうか?

そう、言うまでもなく(2)の敗北である。

(1)の実行面の敗北にはさまざまな要因がありうる。個人や組織が活用できるリソース(ヒト・モノ・カネ)に限界があって、競合のほうが速く実現に動けたのかもしれないし、上司や役員の決済が遅れたせいで他社に先を越されたのかもしれない。
こうしたことが原因である場合、思考力がこの敗北に介在する余地はない。

また、(3)の敗北は回避が難しい。感情面でも「今回は勝ちようがなかった」という感想が先行するため、この種の敗北をなんとかしようというモチベーションは、なかなか湧いてこないだろう。

ほかの2つとは対照的に、(2)の敗北はそもそも「回避できたはずのもの」である。
あなたも相手と同レベルのアイデアを発想し得たはずなのに、現実にはそれより低いレベルのアイデアしか出てこなかった。
なぜそうなったのかといえば、それはあなたに「思考」が不足していたからだ。

かくして、(3)の圧倒的敗北がある種の清々しさを伴うのに対し、(2)の敗北はいつも苦々しい感情と一体である。
(3)の敗北は「まいった」(2)の敗北は「しまった」と名づけることができるだろう。

今回書いた『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか ― 論理思考のシンプルな本質』がターゲットにしているのは、この「しまった」の敗北をいかに減らすかである。

裏を返せば、「ああ、その手があった……くやしい!」とライバルに地団駄を踏ませるアイデアをいかに引き出すか ― その一点をめがけて話を進めたつもりだ。
気になる方はぜひ手にとってみてください。

(第2回に続く)

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津田 久資

1958年生まれ。東京大学法学部およびカリフォルニア大学バークレー校経営大学院(MBA)卒業。博報堂、ボストン コンサルティング グループ、チューリッヒ保険で一貫して新商品開発、ブランディングを含むマーケティング戦略の立案・実行にあたる。 現在、AUGUST-A㈱代表として、各社のコンサルティング業務に従事。 また、アカデミーヒルズや大手企業内の研修において、論理思考・戦略思考の講座を多数担当。表層的なツール解説に終始することなく、ごくシンプルな言葉を使いながら、思考の本質に迫っていく研修スタイルに定評があり、のべ1万人以上の指導実績を持つ。 著書に、就活面接本の超定番書『ロジカル面接術』(WAC)のほか、『世界一わかりやすいロジカルシンキングの授業』(KADOKAWA)、『出来る人ほど情報収集はしないもの!』(WAC)、『超MBA式ロジカル問題解決』などがある。


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