「まとまった仕事の発注」を伴った
“協業”という名のパクリ

上客のふりをしてノウハウを盗む「パクリ文化」の会社おいしい商談こそ危険!?あなたの会社は「パクリ」の餌食になっていないだろうか?

「パクリだ」「パクリじゃない」「いや、やっぱりパクリだ」

 エンブレム問題でしばらく騒がしい日々が続いたが、白紙に戻ったことでいったんは鎮静化するだろう。しかし、「パクリ」はデザインだけに生じるものではない。ノウハウやアイデア、人脈……とすべてに関してパクられる可能性はある。そして、「パクリ」の常習のような企業もあるので、注意が必要だ。

 あるとき、友人が社長を務める中堅企業にB社という大手企業から「協業を検討したい」という申し出があった。さらに、「まとまった仕事の発注」という、ありがたい(ように思える)おまけつきである。

 しかし、結論から言えばその協業は決して手を出してはいけないものだった。B社には、何度も「パクリ」の前科があったからだ。今までその企業がどのように成長してきたか、少し歴史を紐解いただけで過去の行状は明らかになる。

 B社のやり方はこうだ。「協業」と言いながら、ミーティングを重ね、相手企業のノウハウ、アイデア、人脈などをすべて自分のものにしてしまう。NDA(秘密保持契約)は結ぶものの、ビジネスにしたときの制作物(著作物)からはすべてのパクリの痕跡を取り除く。つまりは、「パクリのプロ」なのである。

 しばらく協業の協議はするものの、「今回は断念」ということで、プロジェクトを終了する。その後、しばらくたったころに、新しい基軸で(ということになっている)同様のビジネスが立ち上がる。「やられた!」と思ってからではもう遅い。裁判をするにもお金はかかるし、「まとまった仕事の発注」がなくなるのも困る。そうして「泣き寝入り」をする企業のどれほど多いことか。もちろん、「協業」のすべてがそうだとは言わないが、わずかなうま味につられて泣きを見ることのないよう、返事をする前によく考えたほうがいい。B社のような企業には、できるだけ近づかないに限る。