地球温暖化対策は社会的要請であり、景気減速のなかでも企業は対策を怠ってはならない。2010年度から施行される改正省エネ法をはじめ、これからも規制が強化されていくことは間違いない。省エネなどへの取り組みは、「売り上げ増につながらない」と敬遠されがちだが、実は企業にコストメリットをもたらし、将来の成長力を手に入れる強力なテコともなりうる。

規制が強化されるのは必然
どうせならば前向きの取り組みを

 2010年4月から施行される「エネルギーの使用の合理化に関する法律(通称・省エネ法)」の改正は、中小企業にもインパクトを与えることは間違いない。これまでの省エネ法では、事業所ごとの数値が対象とされ、「大企業だけが対象」というイメージが強かった。しかし、改正省エネ法では、企業全体で合計したエネルギー使用量が規制の対象となるため、中小企業も十分対象になりうる。

 具体的には、年間のエネルギー合計使用量が1500キロリットル以上であれば、国への届け出が義務付けられる。目安としては、小売店舗では約3万平方メートル以上の広さ、オフィスでは年間約600万キロワットの電力消費量ということになるという。

 こうした法規制が進められている背景には、言うまでもなく地球の温暖化を防ぐために温室効果ガスの排出量を削減するという社会的要請があり、工場では削減傾向にあるものの、オフィスや家庭では依然としてCO2排出量の増加が続いているという現状がある(図1)。求められている削減量は半端なものではなく、かなりの削減率が必要とされている。横ばい程度ではまったく話にならないのだ。

図1

 そこで、エネルギー使用量の削減のために、規制の枠をさらに広げようという動きが、今回の省エネ法の改正につながっている。しかし、重要なのは、こうした省エネへの動きは一過性のものではなく、今後も規制が強化されていくと予想される点だ。

 IT動向に詳しい経営コンサルティング会社アイ・ティ・アールの内山悟志・代表取締役は、経営者が注目すべきITの動向として「これからも残っていく必然の流れのもの」であること条件に挙げているが、ITに関連する省エネの取り組みである“グリーンIT”は、まさに今後とも避けて通ることはできないテーマだ。