つまり、会社で一度まるまる損金控除して、さらにそれを個人で受け取って所得控除できるわけですから、いってみれば「控除の二重取りシステム」なのです。この制度こそ、国が公然と認めている最強の錬金術といえます。

 国税庁の2012年度分会社標本調査結果によると、全国の法人253万5272社のうち、赤字の法人は177万6253社と70.3%にも及んでいます。法人税の仕組みを知れば、こんなにも赤字企業が多い理由がすぐにうなずけると思います。

 それに対して、個人事業主では、単に経費を差し引いた残りに税率をかけて所得税を計算しますので、自分の給料まで損金として差し引くことはできません。これが法人との大きな相違点です。

 この連載では、サラリーマンが個人で副業を始めて、あえて役員1人だけの自分株式会社をつくり、法人を利用して有利に資産形成と節税を図る方法について述べていきます。

 日本では今後ますます個人への課税が強化されることが予想される以上、個人でも自分株式会社をつくって、来る増税に備えてほしいのです。