「有識者会議」は、
なぜ“玉虫色決着”となるのか?
広瀬 哀れなもんだ。もうひとつ、古賀さんに聞きたいのは「有識者会議」です。
どうしようもない学者や、肩書き人間たちが勝手にデタラメ議論をやって、原発でも軍事でも、政策を決めていますが、あの連中はどうやって選ばれているのですか? 官僚が選んでいるんですか?
古賀 そう、官僚が選びます。担当課で、まず数十人から100人くらいのリストをつくります。
基本は関連分野の研究者ですが、市民代表的な人や、女性も入れます。配分としては、役所の意向に明確に賛成する人を6割入れます。
広瀬 最初から、過半数を必ず確保するわけだ。
古賀 そのうえで中間派を20~25%、反対派を10~20%くらい入れます。
15人の有識者会議であれば、賛成派を過半数の8人、中間派4人、反対派3人ぐらいです。
次に役所がやることは、中間派をしっかりコントロールして賛成に近づけることです。反対派の3人のうち、柔軟性がありそうな2人には何度もご機嫌伺いに行き、親密になって反対意見を言いにくい雰囲気をつくります。
広瀬 公平に見えるように、わずかな数の反対派を入れて、アリバイづくりをする。狡猾なやり方だ。
古賀 会議前には「明日はこういうことをやります」「こういう方向に持っていきます」と説明し、「この点がおかしい」と指摘されたら、一つひとつ反論します。
その途中で、「先生のおっしゃることもよくわかるのですけど、そろそろまとめないといけないし……」などと言って、肝心の議論を中断させるようにします。
こうして議論しているうちに、強硬に反対を訴えるひとりは、端から見ていると「変な人」に見えてきます。座長もわざと、その人に発言させないようにします。すると、その人は、ますますムキになって発言しようとします。
会議が終わると、担当課長が記者に向かって、「聞いたろ。あの人は本当におかしいんだよ。この間も説明に行ったらバカなことを言っていたよ」と嘘八百を言います。
広瀬 人格攻撃をするわけですね。あの人は変な人だ、近づかないほうがいい、と。
古賀 最後まで反対派がいたほうが「公正な会議」に見えるのでわざとそうします。結局は役所の意向でまとまり、最後にひと言「こういう(反対)意見もありました」と書き添えるだけで、事実上はそれを骨抜きにして無視します。