脳は書いた瞬間に動く

陰山 とはいえデジタルのデータだけ残しても、柱になるものがないと後になって過去データを探すのが大変です。いくつかのキーワードが書かれたアナログデータはやはり必要。それでいうと手帳はなかなか捨てませんよね。データとして結局は残していくわけです。デジタルとアナログを掛け合わせて統合的に記録を残していくことで、情報の質はさらに豊かになると僕は思っています。

和田手帳は記録を残すための柱になるということですか?

陰山 基礎データになるのですよ。先ほども言ったように、人はコンピュータを見ながらでは、迷うことはできても悩めないんです。書くと悩むんですよ。

和田 違う脳を使っているからでしょうか?

陰山 脳は書いた瞬間に動くのですよ。

和田 なるほど! 「入力じゃなくて書く」ということですね。

陰山 そう。僕は、講演会でも冗談でよく言うんですけど、「メモしていただいてありがとうございます。でも家帰って見ないでしょ?」って。そうするとドーッとうけて。そうだ、そうだとみなさん共感してくださる(笑)。

和田 はは、わかります。

陰山 「そういや、いつも書いているけど振り返って見ないな」「なんで見ないのだろう?」と疑問を持ったところで、解説してあげるのです。要するに人間の脳は、聞いているだけだと動かないし覚えられない。だから、「良い話聞いたな、覚えておこう」と思った瞬間に、メモをとるのです。このままだと忘れてしまうというのを本能的にわかっていますので。