前回は、「独裁型」である上司を持つにも関わらず、命令系統を無視するなどし、上司の怒りを増幅させてしまった部下の話を紹介しました。今回は対照的に「独裁型」の上司であっても、うまく立てることのできる部下のケースを紹介します。上司を立てられる部下は、立てられない部下と何が違っているのでしょうか。

上司の性格やプライドを尊重できる部下

 あるプロジェクトメンバーの1人である阿部さんは、最近になって製品の仕様が変更になったことについて、計画の一部見直し案を作成しています。しかし考えがなかなかまとめらないため、星野部長代理に相談することにしました。


阿部「部代(部長代理)、今ちょっといいですか?」

星野「阿部くんか。なんだい?」

阿部「プロジェクトの件で、ちょっと迷っていまして、部代のご指導をいただきたいと思いまして……」

星野「今はあまり時間がないんだが……、しかたないなぁ、わかったよ」

阿部「ありがとうございます。わずかな時間でも助かります」

星野「でも、あいかわらず君はニコニコしているな。迷っているようには見えないぞ」

阿部「そうですか? 笑っているつもりはないんですが、そう見えるみたいで……。すみません」

星野「いや、いいんだ。職場の雰囲気づくりにも貢献しているのかもしれないからな。それで、迷っているというのは?」

阿部「はい。ご承知のとおり、当初予定されていた製品と仕様が変わって、B社のほうから価格を下げるように言われているんですけれども、私なりに提案を3パターンつくってみたんです」