今回、このような時間帯別の需要に対応して滑走路をより賢く使えば、年間の国際線の発着回数(昼間時間帯)は約1.7倍(現行の6万回から9.9万回)まで増えると試算している。

環境影響などに配慮し、
バランスの取れた
計画作りを

加藤一誠
慶應義塾大学商学部
教授 博士(経済学)

 今回、飛行経路の見直しなどを具体化するに当たり、国土交通省ではその必要性や実現方法について市民の声を聴きながら、より環境影響などに配慮した方法を模索しようとしている。

 航空規制の在り方に詳しい、慶應義塾大学商学部の加藤一誠教授は、「飛行ルートの拡大は、通行量増加による効率性の改善と、環境影響などの課題とのバランスが問題になります」と話し、これらを併せて考えることの重要性を強調する。

「羽田空港は東京という実需がある都市の空港なので、東京など首都圏に住む人々が受益者になります。また羽田の国際化が進展すれば、国内線への乗り継ぎ需要で地方にも波及効果が生まれます。今後日本が経済成長するためには、インバウンドが必要であり、その意味では地方の人々も受益者になります。従って単に羽田周辺、東京だけでなく、日本全体に関わる問題という視点で考えていくことが必要です」

国際線の増便で生まれるメリット
海外からビジネスや観光などでの訪日が増え、首都圏だけでなく地方にも人流ができ、日本全国を元気にする
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 秋本俊二氏もこう指摘する。

「ロンドンやニューヨークも都市型の空港で、都市の上空に飛行経路があります。日本でいえば伊丹空港や福岡空港がそうです。海外や日本の他の都市の発展状況や課題への対応方策なども踏まえた上で課題を解決し、同時にメリットを最大限に引き出す取り組みを進めていく。日本全体にさまざまな効果をもたらすインフラとして、バランスの取れた形で将来の発展のための方策を模索していくべきではないでしょうか」

 “日本そして東京の玄関口”として、羽田空港のこれからと、その先にある未来に注目したい。