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知人のひと言で節水設備事業に参入決定
独創的な製品と環境志向で業容は急拡大
エコライン会長 加藤 洋

週刊ダイヤモンド編集部
【第110回】 2010年4月20日
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エコライン会長 加藤 洋(撮影:宇佐見利明)

 「将来伸びそうだから、節水の商売をやってみたらどうか」

 2002年の春、知人が加藤洋にかけたひと言が、エコラインの起業のきっかけだった。

 加藤は大学卒業後、住宅販売会社に14年間勤務した後、秋田市で地場の不動産会社を経営していた。知人の言葉を聞き、加藤は、節水ビジネスの将来性に強く引かれた。

 思い立ったら行動を起こさずにはいられない元来の性格もあり、加藤は即座に節水器具のメーカーを探し始めた。そして、静岡県の節水器具メーカーの商品を販売し始め、02年10月にエコラインを起業する。

 静岡のメーカーの商品を扱っているうちに、加藤には不満が燻ってきた。顧客からのクレームになかなか対応してもらえなかったこともさることながら、商品に独創性がないことが不満だった。

 当時の節水器具は、蛇口やシャワーの水量を調節するためには、器具そのものを付け替えなければならなかった。水量を減らすためには、より口径の小さいモノに交換するしかなかったのだ。

器具を交換することなく
水量を調節する仕組みを開発し、
特許を取得

 加藤は毎日、酒を欠かさない。03年初めのある日、器具の交換なしに水量を調節するアイディアがひらめいたのも杯を傾けていたときだ。

 それは密度を個所によってばらつかせて多数の穴を開けた円盤と円盤から扇状に2ヵ所ほどくり抜いた板を組み合わせるというものだ。くり抜いた板を回転させることで、くり抜いた部分に重なる穴の数を変化させることができる。これで水量を調節できるようにするのである。

 アイディアは思いついたものの、エコライン自体は生産設備を持っていない。そこで、加藤は秋田県工業技術センターに出向く。

 県内の業者を紹介されたが、コストが高過ぎた。そこであらためて工業技術センターに問い合わせると、東京都大田区の町工場に当たってみるといいとアドバイスされた。そこで、加藤は大田区役所に行き、紹介を依頼する。紹介された会社の生産コストは秋田県の業者の半分以下。当然、採算に乗るコストだ。こうして03年後半から同社の主力商品「エコタッチ」の販売にこぎ着けた。

 一見、簡単な仕組みのように思えるがこれまで同種の商品はなかった。加藤は04年9月に特許申請し、この特許は08年3月に認められた。

 同社は、顧客に節水効果を保証する。顧客は同社の製品をリースで取り付けるケースがほとんど。節水によるコスト削減額がリース料を下回った場合には、その差額を同社が補填するとの契約を交わしている。ただ、これまで同社が実際に補填したケースはない。

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