Jリーグが終盤の佳境を迎えている。

 J1はセカンドステージの優勝争い+チャンピオンシップ進出争い(各ステージ優勝チームと年間勝点3位までのクラブが年間優勝を争うトーナメント戦)とJ1残留争い。J2もJ1昇格をかけた争い(1位、2位が自動昇格、3~6位が昇格プレーオフ進出)とJ2残留をめぐって緊張感のある戦いが続いている。また、ナビスコカップは準決勝、天皇杯は3回戦が控え、勝ち残っているクラブは連戦が続く。

 そんな中、もうひとつの目標に挑んでいるクラブがある。アジアナンバー1クラブを決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝に臨んでいるガンバ大阪だ。

 対戦相手は中国の広州恒大。決勝進出をかけた試合はホーム&アウェーで行われ、9月30日のアウェー戦は1-2で敗れた。だが、2戦の合計スコアが並んだ場合、アウェーでの得点が多い方が勝利となる。10月21日にホームの万博で行われる第2戦1-0で勝てばいいわけで、決勝進出の可能性は十分ある。

世界中から一流の人材を引き抜く
中国一の金満クラブ

 もっともアジアのサッカー事情に詳しくない人は「中国のクラブなんかにJリーグの強豪が負けて、情けない」と思うかもしれない。だが、広州恒大というのは実はすごいクラブなのだ。

ACLでガンバに勝った中国・広州恒大、巨額報奨金の威力は絶大か?

 広州恒大は2007年まで中国の2部リーグにいて、1部の超級リーグに昇格した後も八百長問題を起こすなど褒められたクラブではなかった。しかし2010年、年間売上8000億元超(約14兆円)、利益は200億元(約3200億円)という巨大不動産会社・恒大地産集団に買収されると、その豊富な資金力で外国の一流選手を獲得するなどし、一気に中国を代表する強豪にのし上がった。

 2012年にはイタリア・セリエAのユヴェントス監督としてリーグ優勝5回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝1回、2006年W杯のイタリア代表監督としても優勝を遂げるなど、世界でも指折りの名将といわれたマルチェロ・リッピ氏を監督に招へい。その年俸はコーチングスタッフ込みではあったが、1000万ユーロ(約14億円)というとてつもない額だった。

 また、2014年にリッピ氏が退任すると、イタリア代表だったファビオ・カンナバーロ氏、続いて2002年W杯でブラジル代表を優勝に導いたルイス・フェリペ・スコラーリ氏を監督に招いた。金を湯水のように注ぎ込み、世界で一流の指導者と選手を呼ぶ。そんな強化策が実って広州恒大は2011年から中国超級リーグを4連覇中。2013年にはACLも制した。今年も超級リーグでは現在首位を走っており5連覇も濃厚だ。