タイ 2015年10月7日

バンコク無差別爆破テロ事件から約1カ月。
エラワン祠は、通常の姿を取り戻していた。

8月17日と翌18日に起きたバンコクの無差別爆破テロ事件。その後、現場はどうなっているのでしょう。バンコクの日本語情報誌『DACO』の発行人、在タイ27年の沼館さんが、事件から約1カ月経ったバンコク「エラワン祠」を訪れた現地レポートです。

 タイ・バンコクで起きた無差別爆破事件から約1カ月が経った9月19日、第一の現場となったエラワン祠へ行ってきました。

 エラワン祠はバラモン教の天地創造神・プラフマーを祭っており、タイで最も御利益があるとされ、祈願成就の際には祠に控えている楽団と踊り子たちに寄進して創造神に舞を奉納する慣わしがあります。

 さて、たった1カ月前に、20人もの死者、100人を超えるケガ人を出したばかりの場所です。やはり自粛しているのかな、という予想は外れました。何か祈願が成就したのでしょうか。何度も舞が艶やかに奉納され、そして祈願する人たちの姿が絶えません。 

地元の人々にとっての憩いの場「エラワン祠」【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】
バンコク伊勢丹も入るショッピングセンター、ワールドトレードセンターの交差点のはす向かいに位置する【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】
願いが成就すると楽団が奏で、踊り子が立ち上がり奉納の舞を始める。この日は午後2時から3時の1時間に3つの奉納舞があった【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】

 ここの爆破は午後7時ごろでしたが、時を置かずしてタイ人社員からLINEで「エラワン祠付近で大爆発。液化ガスを搭載したタンクローリーらしい」との一報がありました。その後、無差別爆破事件ということがわかり、すでに容疑者はあがっていますが、黒幕はまだつかめていません。

 タイで無血クーデターが起こり、タクシン首相が失脚。国外へ逃亡したのが2006年の今日(9月19日)。以来、何回かにわたって、政府と反政府との死 者までだした小競り合いがこのエラワン祠周辺で繰り返されました。大勢の参拝客が訪れる神聖な場所であると同時に、生臭い歴史的な場所でもあるのです。

2006年、クーデターに至った騒乱時に設置された防犯カメラ。付近一帯には死角がないぐらい多くの場所に備え付けられている。おかげで容疑者の割り出しにも役立った【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】

 現場には、警察の特殊部隊や軍人もいて、警備が強化されています。しかしタイ人の動きは、これまでとまったく同じように見えます。タイの軍政の評判を引き摺り下ろすには、もう一度この場所を狙うのが効果的とも思われますが、そんな心配はしないのでしょうか。

 社内の信心深いタイ人スタッフに「いくらなんでも節操がないのでは……」と水を向けてみると、「死んだ人はこのありがたい場所で供養されたのだから、あの世でも幸せだと思うよ」と、こちらの憂いは一笑に付されてしまいました。

午後3時、防弾チョッキをまとい、エラワン祠内に5人はいた特殊部隊だが、5時ごろには、もう誰もいなかった【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】
迷彩服を着た軍人の姿も(右下)。入り口では民間の警備会社が金属探知機を持って怪しい人の体をなぞる【撮影/2015年9月19日/「DACO」編集部】

 とはいえ、日本からだけでなく、世界中から観光客の数が減っているということも事実です。

 参拝者は、ただただ「長生きできますように」と祈っているように見えました。亡くなられた方々のご冥福を祈ります。

この日、現生利益を祈願していた人らの供物や線香【撮影/2015年9月19日/「DACO編集部」】
『DACO』とは?:バンコクで月2回発行される無料の情報誌。発行人の沼舘幹夫編集長は25年以上前に日本の通信社からニュースを仕入れ、在タイ日本人に伝えるために駐在員として来タイした。

 


橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。