官民ファンドの産業革新機構が主導し、ソニー、東芝、日立の中小型液晶部門を統合し誕生した、ジャパンディスプレイ(JDI)。元三洋電機副社長で、今年6月にJDIの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した本間充氏に、社内改革の現状や液晶産業の展望について聞いた。

ジャパンディスプレイ会長兼CEO 本間 充 <br />日本の液晶産業強化を見据えシャープとの統合は拒まないPhoto by Masaki Nakamura

──JDIのトップに就任して初めて感じた違和感は何でしたか。

 正式就任する2週間前に顧問として入り、全国の工場を視察したときに、実は早速カミナリを落としましてね。稼働率や歩留まりがこんなに高いんですと説明するので、それはこの狭い業界だけで見ればという話で、製造業全体で見れば決して自慢できるような水準じゃないだろうと。

 実際に、製造過程を見渡すと改善の余地はたくさんありました。中でも、液晶パネルの後工程(モジュールの組み立てなど)のコスト削減は大きな課題です。そのため、経営会議で後工程に責任を持っている人間は誰かと質問しても、皆が下を向いて誰も手を挙げなかった。この会社は、責任の所在すら明確化できていなかったのかと、当初はがくぜんとしました。

 会社に入る前から、そうした状況が垣間見えたこともあって、大塚(周一前社長)さんからはあえて引き継ぎを受けませんでしたね。

──「自主経営意識の低さ」ということも指摘されていますね。