4月16日、米国のSEC(米国証券取引委員会)が、サブプライム関連の金融派生商品であるCDO(債務担保証券)の販売に関連して、ゴールドマン・サックスを訴追した。

 それをきっかけに、当日の米国株式市場は大きく下落し、その影響は世界の主要な株式市場に及んだ。その動き見ても、オバマ政権が“ウォール街覇者”であるゴールドマンを訴追したことは、大きなインパクトを持つことがわかる。

 今回の訴追は、米国のオバマ政権が、大手金融機関に対する規制強化を目指す流れの一環と見るべきだ。オバマ大統領の意識の中には、「“100年に1度の金融危機”を発生させた原因の1つが、大手金融機関の投機的な行動だった」との見方があるのだろう。

 そうであれば、「金融機関の行動に規制をかけないと、危機の再発を防げない」という考え方に行き着くのは、必然だ。逆に言えば、金融機関に厳しい規制をかければ、危機の再発を防げる、つまり「“100年に一度の危機”の清算が可能になる」との発想だ。ゴールドマンの訴追は、その考え方の表れと見るとわかり易い。

 問題は、“ウォール街の覇者”の違法性をちゃんと立証できるか否かだ。ゴールドマンに限らず、それ以外の有力金融機関にとって、訴追の行方は今後のビジネス展開に大きな意味を持つ。

 彼らはロビー活動も含め、全力を挙げてオバマ政権に抵抗することだろう。専門家の間でも、立証可能性については意見が分かれるところだ。訴追の最終決着は、今のところ予断を許さない。

リスクを承知でCDOを売りさばいた
ゴールドマンサックスの「重い責任」

 これまでの経緯を振り返ってみよう。今回の提訴の原因となったのは、2007年にゴールドマンが販売したサブプライムローンを基にした金融派生商品「CDO」(債務担保証券)だ。