犬や猫が理解できる
ダメ出しは0.5秒以内

「犬や猫は、0.5秒以内に行動の評価を出してあげないと理解できません。ほめ言葉は同時に撫でたりほほ笑んだりしてもらえるので理解しやすいのですが、『NO』や『ダメ』はやっかい。タイミングがずれたり、何度も繰り返されると、自分が否定されていると感じるようになり、おびえやすく自信のない性格になってしまいます」

 とはいえ、犬や猫の行動を逐一観察していることはできないし、監視して人もペットも緊張し続けている方が、精神衛生上良くない。

「NOと言われること、つまりしてもらっては困ることを、しないで済むようにしてあげればいいのです。『困る』を減らして、『楽しい』を増やす。そのための工夫を住まいに施してほしいですね」

 これを実現するには5つのポイントがあると金巻氏。一つずつ見てみよう。

1 居場所の確保と制限

「家の中を自由に動き回れることが、ペットにとってもうれしいことと考えるのは、誤解です。特に犬は、自由に動ける場所を『テリトリー』と考えるので、その範囲を『管理する責任と義務』を負わせてしまうことになります」

 犬は、テルトリー内にあるものを触れたり噛んだりして把握し、その場所に入ってくるものを侵入者とみなして、吠えて家族に警告したり、撃退しようとする。こうした行動は、リビングだけを自由に動き回れる場所にするなど、犬の「管理責任スペース」を減らすことで、かなり解消されるという。

 出入りしていい場所といけない場所は、犬や猫が「その場所」と「行動」の関連性を理解しやすいよう、ドアや段差、柵などで明確に区分けする。「そこは入っちゃダメ」などと声を荒らげてもペットには理解できず、飼い主への不信感を植え付けてしまうだけなのだ。

 一方で、安心で快適な場所を与えることも大切だ。金巻氏は「犬と猫には、何かあったときに逃げ込んで心を落ち着かせる『隠れ家スペース』が必要」だと言う。