「酒類を除く飲食料」の
軽減税率程度でいいのか

 消費税の再増税に当たっては、財務省は「酒類を除く飲食料品(外食を含む)」を軽減税率の対象とし、「購入時にマイナンバーカードを提示すれば軽減ポイントを付与、個人口座に還付金を振り込む」という奇策を打ち出した。

 実行困難な愚策だが、与党案の酒類を除く飲食料品、生鮮食品、精米のみの3案という対象品目も世界的に見て非常に少ない。主要先進国では、アメリカが医薬品や新聞・雑誌は非課税、イギリスでは医薬品や新聞・雑誌、食料品までゼロ税率、フランスでは医薬品、新聞・雑誌、食料品に外食まで軽減税率という具合に、それぞれ、自国の事情に合わせ、軽減税率や非課税枠、ゼロ税率を設けている(注)

 OECD諸国で軽減税率を導入していないのは日本とチリだけ。端緒となる今、軽減税率の適用範囲を狭めてしまえば、今後税率が上がった時も、少ない範囲のままいく可能性が高い。

 日本の消費税率は、国家財政が危機的状況にあり、少子高齢化の進展が避けられない中、今後さらに15%、20%と上がっていくのは必定。ここはゆるがせにはできない問題だ。

(注)軽減税率とは、特定の品目に標準税率より低い税率を適用するもの。非課税とは、特定の品目を消費税の対象から外すこと。ゼロ税率とは、仕入れ時の税額控除が認められる非課税(完全非課税)。