またもや半導体業界に巨額再編の花火が打ちあがった。その打ち上げ会場は中国大陸だ。そしてこの再編は、世界トップ10社のうち唯一残った企業、東芝にも大きな影響をもたらす可能性が高いのだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

 NANDフラッシュメモリ世界3位の米サンディスクが、米HDD(ハードディスクドライブ)首位のウェスタンデジタル(WD)によって買収されることが発表された。買収金額は190億ドル(約2兆2778億円)だ。

米サンディスク2兆円身売りで<br />東芝を飲みこむ再編の大波サンディスクはNANDフラッシュメモリで世界3位。東芝と設備投資でジョイントベンチャーを組んでいる 
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 WDは、世界のHDDのシェア45%を握る企業だが、すでに9月末に発行済株式総数の15%を中国の紫光集団有限公司に売却することで合意している。今回のWDによるサンディスクの買収も、紫光集団の買収提案が米競争当局の認可を通るかどうかで金額が変動するという。 

 10月12日に発表された、米デルによるエンタープライズストレージ(外部記憶装置)世界首位の米EMCの約8兆円での買収に続く大型買収。今後世界のデータ使用量が爆発的に増えることを見越しての再編劇とも言える。

 HDDはデータ記憶装置としては現存する市場の中では最も古株だ。単価下落も進み、業界の合従連衡も進み2010年をピークに市場規模も縮小しつつある。一方、フラッシュメモリはHDDを代替する記憶媒体として今後市場の伸びが期待されている製品。特に、パソコンやサーバーなどのHDDはSSDというNANDフラッシュを使った記憶装置に置き換えが進んでいる。HDDの最大手であるWDが、“敵”のNANDに手を伸ばすのはそのためだ。ちなみに、現在のSSDは構造上はHDDのそれを踏襲した作りになっており、HDDのドライブメーカーであるWDにとってもNANDを手に入れることはメリットが大きい。