>>(上)より続く

 前述のように『離婚から1年で別の男と再婚する』のは離婚前から決まっていたはずなのに離婚時に再婚しない前提で割高な養育費を設定され、再婚の事実をひた隠しにされ、何も知らない和彦さんはまんまと前妻の計画に引っかかってしまったのです。養育費を1度も遅れることなく支払ってきたのですが、ようやく「すべて計算ずくだった」ことを知ることとなりました。そして今回の件に白黒をつけるべく、前妻へ直談判をしに行ったのですが、話は遅々として進まなかったのです。なぜでしょうか?

 前妻は過去の成功体験に味をしめており、今でも和彦さんのことをと自分より格下の人間だと軽視していたのでしょう。今回もわがまま放題を言い続け、意味不明な持論を展開し続け、ヒステリックで過激な行動を起こし続けたのです。そうすれば、養育費を減額せずにやり過ごせるだろう、どうせ途中で和彦さんがあきらめるだろう、そして自分の思い通りになるだろうという魂胆が見え見えでした。では前妻は具体的にどんな反応をしたのでしょうか?再婚トラブルを解決するためのポイントは6つ(法律の根拠、タラレバ論の排除、面会の放棄、過去の養育費の放棄、慰謝料の放棄、長期化リスクの顕在化)あります。順番に見ていきましょう。

再婚も養子縁組も白紙にすると
言い出した前妻

「だまされた!アンタが養育費をちゃんと払うって言うから、渋々、離婚届に判を押したのに。養育費を途中で減らされるって分かっていたら、離婚してあげなかったんだからね!もう、どうしてくれるのよ!!」

「養育費は妻の言い値を約束するから、その代わりに離婚してほしい」。和彦さんが離婚を渋る前妻を説得すべく、話し合いの最中、そんな軽口を叩いたかどうかは、今となっては定かではなく、今さら「言った、言わない」をめぐって押し問答をしても、ますます出口は見えなくなります。

 そもそも離婚するときに、どんな経緯でどんな約束を交わそうと、法律上、養育費は事情変更(離婚時と比べ、経済状況や家族構成等が変わった場合)による見直しが認められているのです(民法880条)。裏を返せば、離婚時にどのような養育費の金額、期間を約束しても、約束した金額を約束した期間の最終回までもらい続けることが保証されているわけではないのです。前妻の個人的な意見と法律の公式的な見解。どちらが優先するのかは言わずもがなですが、それでも前妻はまだ食い下がってきたようで……。