「ポスト京都」の具体的な内容を話し合う温室効果ガスの主要排出国閣僚級会合が開催され、国会では「地球温暖化対策基本法案」の審議が始まった。ここに来て環境問題に関するニュースが再び盛り上がっている。世間では、「マイ箸」や「エコバッグ」など、消費者のエコ意識も根付いてきた感があるが、一方で環境対策のあり方に対する疑問や異論も、増え続けている。身近なケースを挙げながら、「玉石混交」のエコ議論を改めて見直してみよう。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

温暖化対策はこのままで大丈夫?
メディアで盛り上がる「エコ議論」

 温室効果ガスの主要排出国閣僚級会合が開催されると共に、国会では「地球温暖化対策基本法案」が本格的に審議入りした。今国会での法案成立を目指す民主党が野党と対立し、地球温暖化対策はさながら“春の嵐”の様相だ。4月~5月にかけて環境問題に関するニュースが再び盛り上がっている。

 そんななか、「CO2の25%削減」をブチ上げた鳩山政権の支持率が、普天間問題などで急降下していることも手伝い、「日本の環境政策は本当にこのままでいいのか?」という不安・異論が、マスメディアやインターネット上で増え始めた。

 環境政策への疑問と言えば、2009年11月に起きた英国の「クライメートゲート事件」を思い起こす人も少なくないだろう。ハッキングによって英イースト・アングリア大学内の気候研究ユニット(CRU)から流出したメール群の中に、「地球温暖化が国際的な陰謀の一端である証拠」が発見されたと言われる一件だ。

 具体的には、実際は低下傾向にあった近年の気温値データを隠蔽したことや、地球温暖化のコンセンサスに反対する学者を学会から排除する工作があったことなどが流出メールから判明したと言われるが、その真偽は定かではない。

 ただし、ますます重視されている環境対策について、各国の関係者の間に様々な異論が生じていたのは確かだ。「クライメートゲート事件」は、「今取り組んでいる環境対策は本当に適切なのか?」ということを改めて関係者に問いかけるきっかけになったと言える。

 この事件のケースはいささか話が大き過ぎるが、「本当に必要とされる環境対策とは何か」「視点を変えればもっと効率的な環境対策ができるのではないか」といった問題意識を持ち続けることは、政府関係者や専門家ばかりでなく、我々一般人にとっても重要なことだ。