経営×ソーシャル
ソーシャルのいま
【第3回】 2015年11月17日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

実名性ソーシャルメディアでは“本音”が消える

日々拡張を続けるソーシャルメディア。私たちを取り巻く状況は大きく変化している一方、変化していないことも存在する。一体何が変わり、何が変わっていないのか。『ソーシャルメディア進化論』が出版された当時を振り返りつつ、現在について考察を深めていく。

2ちゃんねるの人気が廃れない理由とは!?

ソーシャルメディアは「関係構築」と「情報交換」という二極に大別することができる

 前回までの記事を通して、ソーシャルメディアは「何を拠りどころとするか」によって2つに大別できることを確認しました。

 今回はソーシャルメディアを分類する際のもうひとつの軸、「求めるもの」に目を転じてみましょう。この軸は「関係構築」と「情報交換」という二極に大別できます。関係構築のソーシャルメディアの雄は、フェイスブックやLINEといったSNS。そして情報交換のソーシャルメディアには、日本最大の匿名掲示板サイト「2ちゃんねる」が含まれます。

 誹謗中傷が多いことで有名なこの「2ちゃんねる」が、なぜ人気があるのか不思議に思ったことはありませんか?

 2ちゃんねるの画面表示のレイアウトは、発言されたばかりの最新スレッド(章にあたるもの)が画面の左上から順番に並び、最も目立つように設計されています。一見、文字の羅列のみで荒削りに見えるデザインですが、情報の更新、ただその一点のみを強調し、他をばっさりと切り捨てたことで「現在」を演出することに成功しています。

2ちゃんねるのスレッド一覧。カテゴリごとに左上から最新スレッドが並ぶ
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 2ちゃんねるでは、ありとあらゆる切り口の情報が交換され、そのスレッドの数は、ある瞬間をとっても1万を超えます。

 どんなに小さな話題であってもスレッドは立ちます(その中には、有名でない個人や組織すらも含まれます)。それが「現在」の話題となればあっという間に大きなスレッドに発展します。

 2ちゃんねるにアクセスすれば「現在」がわかる。「現在」に触れられる。自分も含めた参加者たちと現在において一緒になれる。そのメディアに触れる全員が参加者となります。

 マスメディアは視聴者を「大衆」と呼びますが、2ちゃんねるはそれを「個人の集合」であるとします。このあたりの人気があるがゆえ、2ちゃんねるのような匿名掲示板の人気は廃れないのだろうと思います。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルのいま

ソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である筆者が『ソーシャルメディア進化論』を出版してから早4年。ソーシャルメディアを取り巻く状況は大きく変化した。一体何が変わり、何が変わっていないのか。当時の状況を振り返りつつ、現在の状況について考察を深めていく。

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