「小売店やメーカーがものを売るだけの時代は終わった」

「……というわけなんです。どうか、お力添えいただけませんか?」

 衣料品のリサイクルが遅れていて問題であること、裏を返せば、その問題さえ克服すれば衣料品のリサイクルは巨大な市場に成長しうること。その問題を解消する可能性を秘めた技術開発に、私たちが成功したこと。さらには、その技術を活かすために衣料品の回収モデルをつくることが重要だということ。

 私がいつものように熱を込めて話し終えると、私の目の前に座ったその人は、それまで私が断られつづけてきたときとは明らかに違う反応を示しました。

「小売店やメーカーがものを売るだけの時代は終わった。これからは、使い終えたものを集めるところまでやって初めてお客さんがきてくれる」

 私は、雷に打たれたような衝撃を覚えました。

 まさに慧眼。私は、回収モデルをつくることばかり考えていて、それで小売店を展開する企業を回って巻き込もうとしていましたが、私の拙い説明を聞いた金井さんは、さらにその先を見ていたのです。

小売店が社会の中で果たすべき役割とは何か――。そこにまで思いを馳せておられたのです。そして、良品計画は当社の応援団長となってくれました。

 金井会長が私の話を聞いてかけてくださったこの言葉は、私、そして日本環境設計という会社にとっての大事な宝物です。