中国は現在、産業構造を大きく転換する最中にある。製造業、とくに沿海部の製造業は、労働力不足、労賃の高騰、電力水道費用の上昇などによって、多くの企業が困難に直面している。

 一方、淘宝(タオバオ)などのeコマース、宅配便などの物流は、中国の津々浦々までネットワークを張り、サービス業は新しい形で速く、大きく成長している。

配車アプリ、微信が普及
eコマースへの投資が急増

 日本と違ってJRや地下鉄などの公共交通機関がまだ十分普及していない中国では、タクシーがよく使われている。ここ一、二年で海外のアプリを含めて、配車アプリは、都会で会社勤めのほぼすべての人が使うようになっている。

 中国既存のタクシーサービスはけっして褒められるものではない。搭乗拒否、タクシードライバーが自分の好きなラジオ番組を聞き、無線でほかのドライバーと談笑することは、ごく当たり前のことである。しかし、新規に参入してきた配車アプリによって提供されたサービスは、少なくとも既存のタクシーサービスとは違い、少しは近代都市のサービスとなってきた。

 このほど、中国消費者報など消費者権利擁護を掲げている31団体が共同で「配車アプリのサービスと消費者権利の保護」に関するアンケート調査を実施した。その結果、配車アプリは消費者に歓迎されており、65.5%以上の回答者が利用経験を持ち、8割近い回答者が利用したいと答えた。7割を超える回答者が配車アプリサービスに「満足」、「非常に満足」と答えた。

 配車アプリのほかにも、騰訊(テンセント)傘下の「微信」(WeChat、日本のLineに相当)は、中国で大流行している。昨年年末の公式統計ではユーザーはすでに7億人を超え、そこからいろいろなサービスも生まれている。配信アプリはもちろん、友人へのお金の振り込み、公共料金の支払いなども微信を使って行える。

 微信も非常に収益が高い。市場研究公司Activateがこのほど発表したデータによると、微信はユーザー1人から7ドル(約845円)の収入を得ており、これは世界のSNSの中で前例のない高水準だ。韓国のカカオトークは4.24ドル(約512円)、日本のLineは3.16ドル(約381円)だという。