橘玲の世界投資見聞録 2015年10月30日

エルサレムに行ってみて分かった、
多くの民族が抗争を繰り返す「特別な土地」の意味
[橘玲の世界投資見聞録]

 9月25日(金)から27日(日)までエルサレムに滞在した。

 エルサレムのユダヤ神殿跡には岩のドームとアル=アクサー・モスクが建ち、イスラームの聖地になっている。すでに報道されているように、その神殿の丘が9月13日に封鎖されて以来、ユダヤ人とパレスチナ人のあいだの緊張が高まり、10月に入ってユダヤ人の一般市民が刺殺されるなどの事件が相次いでいる。パレスチナ問題については部外者が軽々に論評できることではないし、エルサレムがどのような街かは岩永尚子さんによる丁寧な解説がすでにあるので、ここでは実際に体験してみないとわからなかったことを書いてみたい。


[参考記事]
●教えて! 尚子先生 エルサレムに複数の宗教の聖地が集まっているのはなぜですか?

オリーブ山から神殿の丘と岩のドームを眺める      (Photo:©Alt Invest Com)

 

ユダヤ教の祭日時期のエルサレム

 今年は、ユダヤ新年が9月14日(月)の日没から15日(火)、ヨム・キプール(大贖罪日)が9月23日(水)、スコット(仮庵祭)が9月28日(月)と29日(火)で、私が訪れたのはユダヤ教の祭日が続く時期だった。またユダヤ教では金曜の日没から土曜の日没までが安息日で、家事を含めいっさいの労働が禁じられているので、土曜の午前中のエルサレム市街はご覧のようにゴーストタウンのようになる。

 驚くべきことに、金曜の日没からは路面電車やバスなどの公共交通機関はもちろん、タクシーなども営業を取りやめるため、徒歩以外では移動できなくなってしまうのだ。

土曜日午前中のエルサレム市街。路面電車も運行を休止する(Photo:©Alt Invest Com)

 

 下は観光客向けのブランドショップ街だが、こちらもご覧のようにすべてシャッターを下ろしている。ユダヤの安息日のことは知識としては知っていたが、ここまで徹底されているとは思わなかった。「24時間営業」のスーパーも閉まっているので、水1本買うのにも苦労する。

ブランドショップ街もゴーストタウン          (Photo:©Alt Invest Com)

 

 旧市街に近づくと、キッパという小さな帽子を被り、黒いスーツを着た敬虔なユダヤ教徒が嘆きの壁に向かう姿が見られる。より原理主義的なハシディズム派は、子どもでも黒い帽子に黒いスーツ姿で、鬢(耳ぎわの髪)を伸ばして巻き毛にしている。ユダヤの律法に、「頭に剃刀を当ててはならない」と書かれているからだという。

嘆きの壁に向かうユダヤ教徒たち         (Photo:©Alt Invest Com)
嘆きの壁。階段を登ってくるのはハシディズム派の少年  (Photo:©Alt Invest Com)

 

 ただし旧市街に一歩入ると、細い路地に露店が密集し、アラブコーヒーを出すカフェや、ピタパンにケバブの料理店なども営業している(ビールが飲める店もある)。これは観光客向けに店を開けているのではなく、東エルサレムに属する旧市街がもとはヨルダン領で、ここに暮らす住民の多くがムスリム(パレスチナ人)だからだ。イスラームでも金曜は安息日とされているが、ユダヤ教のように厳格なものではなく、合同礼拝がある以外はふつうの休日と変わらず労働も禁止されていない。そのため、城壁の内側と外側でまったくちがう世界になるのだ。

旧市街のアラブ人街。狭い路地に土産物店などが集まっている  (Photo:©Alt Invest Com)

 

 土曜日の日没を過ぎると、エルサレムじゅうの店が開店の準備を始める。日中はゴーストタウンのようだったブランドショップ街も、ご覧のように賑わいを取り戻す。

誰もいなかったブランドショップ街も、夜になるとこのとおり       (Photo:©Alt Invest Com)

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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