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お騒がせ「ハムやベーコンに発がん性」発表の勇み足

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第135回】 2015年10月31日
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 世界保健機構(WHO)の付属機関のひとつ、国際がん研究機関(IARC)が発表したところでは、毎日一定量の「加工肉」を食べている人は、結腸や大腸がんを発症する確率が高まる――、のだそうだ。ついでに、赤身肉にも発がんリスク(すい臓がん、前立腺がん)の可能性があると指摘した(報告書はがんの医学専門誌『ランセット・オンコロジー』電子版に掲載)。

 そんなこと言ったらもうお肉を食べられないじゃん、と肉好きが悲鳴を上げた。

 IARCが定義する加工肉は、塩分を加えたり、燻製にしたりした食肉のことだ。具体的に言えば、ベーコン、ソーセージ、ホットドッグ、サラミ、コンビーフ、ビーフジャーキー、ハム、肉の缶詰等々を指す(赤身肉は、逆に加工されていない牛、豚、羊、馬、山羊など哺乳類の肉のこと)。

 そんなのほとんど毎日食べているじゃ~ん、と嘆く人もいるだろうが、IARCが発表した発がん性の確率は、信じられないことに、わずか五〇グラムの加工肉を毎日食べることで十八%も高まる、というものだ。

 五〇グラムの加工肉がどのくらいの分量かというと、市販のソーセージで約三本、ベーコンは約二枚で約五〇グラムになる。これを毎日食べているアナタ、大腸がんを発症する確率が他の人より十八%も高いんですよ。毎朝ベーコンエッグを食べている人はがん発症の切符を買ったも同然なんです。他にも牛肉豚肉といった赤身肉を食べていたらすい臓がんや前立腺がんにもなる確率も高まるんですよぉ。

 という脅しをしたわけだ、IARCは。

 今回の調査には十ヵ国二十二人の研究者が参加したのだという。約八〇〇の研究論文を精査した結果、彼らは――、

〈今回の研究は、収集した大量のデータに基づいており、それらによると広範な人種にわたり加工肉の摂取と大腸がんの一貫した関連性が認められる。何らかの偶然や偏り、あるいはデータの乱れがこの関連の原因とは言い難い。この結果、調査に携わったワーキンググループの大半の研究者が、加工肉摂取に発がん性があるという十分な証拠が存在するとの結論に達した〉

 ソーセージやベーコンなど加工肉の摂取量増加に伴い、がん発症のリスクも高まると彼らは報告書にまとめた。赤身肉にも「やや低いながら」発がん性のリスクはあると。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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