「OurPlanet-TV」で
10万PVの大ブレイク

広瀬 原子力シンジケートは、一種のマフィアで、日本の政財界、マスコミ、学会を全部支配し、さらには地域社会も支配しています。シカゴのギャング、アル・カポネと同じです。金を握らせてね。

吉原 そうです。そこで、原発事故が起こったとき、私たちの城南信用金庫では、どのように行動すべきか考えました。
 信用金庫とは、ただの金融機関ではなく、協同組合組織であり、社会貢献企業です。

 信用金庫の生みの親で幕府の重鎮だった上総一宮藩主、加納久宜(かのう・ひさよし)と、城南信用金庫の3代目理事長・小原鐵五郎(おばら・てつごろう)は「世の為、人の為」を唱え、正しいことを実現するために、いつも命がけで戦ってきました。

 こうした伝統を受けて、私たちは日頃から「地域のみなさんを守り、地域を幸せにするために存在する」と言っていましたから、こんなときに私たちが何もしなかったら、なさけないじゃないですか。

 2011年4月1日、城南信用金庫のホームページに、「原発に頼らない安心できる社会へ」というメッセージを掲げ、原発を止めるための節電キャンペーンを開始しました。

広瀬 私が吉原さんに惚れたのは、そうした具体的な行動力です。反応はどうでしたか。

吉原 新聞記者やテレビ局に声をかけ、節電キャンペーンの取材を受けました。なじみの記者は、みんな興味を持って取材に駆けつけて熱心に原稿を書いてくれました。

 ところがですよ、どの新聞にもまったく記事が掲載されず、各テレビ局も録画撮りまでしたのに結局ボツになりました。
 いったい、この世はどうなっているのかと驚き、ゾッとしました。

広瀬 マスコミの営業部は、原子力産業の圧力の前に、何も言えなくなっているのです。それで、デスクも引いてしまうのですね。

吉原 そうしたなかで、非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV(アワープラネット・ティービー)」の代表を務める白石草(しらいし・はじめ)さんが取材にきてくれました。
 私は白石さんの質問に答えながら、脱原発と節電の呼びかけを行いました。この動画がネットにアップされると、10万ページビュー(PV:サイトの閲覧数)を超すアクセスとなり、大きな反響を呼んだのです。そこからキャンペーンがブレイクしました。