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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

自動運転は普及するのか、という愚問

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第18回】 2015年11月6日
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自動車を運転することは
「物珍しいこと」になる

 自動車の世界でも急速にIoT化は進んでいます。でも日本でその認識は、あまり浸透していないようです。

 以前出席した2030年の東京について話し合う会議で、「水素ステーションをどこに配置するか」といったことが議題にされて、強い違和感を覚えたことがあります。

 自動車はすでに動くコンピュータに変化しつつあって、今後IoTによって最も大きな変化を遂げるものの一つであることは間違いありません。かつて自動車の普及が世界の街の姿を変えたように、自動車のIoT化は再び街の姿を変えることになるでしょう。

 そう考えると水素ステーションを配置する場所で悩むのがナンセンスなことがわかるはずです。水素ステーションは電池に充電することの代用品に過ぎず、電気自動車用の電池は技術進化によって急激にコストが下がり、高性能化しているからです。

 自動運転についての議論でも、「日本は遅れているな」と感じることが多々あります。最近、アップルやグーグルまでが開発に名乗りを上げたことで、自動運転が注目を集めています。現状では自動運転についてもさまざまな意見があることは知っていますが、「自動運転が普及するかどうか」と議論すること自体、私には不思議でなりません。

 湘南の海岸沿いの道などで、ハーレー・ダビッドソンを運転するおじさんを見かけます。物好きといったら語弊があるかもしれませんが、必要に迫られているわけでも効用を追求しているわけでもなく、完全に趣味としてライディングを楽しんでいる人たちです。私は、20年後には、自動車を自分で運転する人はごく少数派になり、現在のハーレーに乗るおじさんと同じような存在になるだろうと思い描いています。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

ご意見は、ツイッター@whsaitoまで。

 


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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